
カルロス・ゴーン氏 |
変革を進めるための強いチーム作りには、3つの要素が必要だと考えています。
一つは女性の活用です。日産の中では、とくにマネジメントポジションで、この何年間かで着実に増えています。今(2003年2月現在)最も高いポジションにいる女性は、コーポレート・オフィサー、そしてバイス・プレジデントです。業績重視の人材登用をこれからも追求すれば、当然の結果として女性の役員及びマネジメント層は増えていくでしょう。
二つ目の要素は、コミュニケーションです。会社が危機的な状況にあるとき、そして大きな変化の波をくぐっているとき、コミュニケーションが非常に重要な要素となります。会社の中でモチベーションを上げていくためにも、コミュニケーションというのは、とても重要です。ですからお互いに対して正直に、そしてお互いに対して、完全に透明な形でコミュニケーションを取っていくことが重要であるわけです。
三つ目の要素としては、チームのメンバーがさまざまな裁量権を与えられる、ということです。つまり責任のあるポジションにいる人たちというのは、その責任に見合った裁量権を与えられる必要があります。クロスカルチュラル・マネジメント、クロスファンクショナル・チーム、そしてクロスカンパニー・チーム、これらのツールは、わたしたちの改革でもおのおのの中で使われ、結果としてシナジー効果を生み出しました。
わたしたちは文化的な違いにとらわれず、非常に独特な日産文化をつくろうとしました。この3年間で、日産は苦しみもだえる会社から、いわゆるグッドカンパニーというところまで浮上しました。このまま進むことで、グレートカンパニーに変化していくでしょう。
3年前の日産とは違います。今、非常に競争力を持った会社になっています。わたしたちは今はっきりとしたフォーカスを持っています。「わたしたちは変化してきた」と、はっきり言い切ることができます。
時に、「今、日本はいったいどのように変化すれば再生できるのか」と聞かれます。わたしはこの国では新参者です。しかし、一つの答えは、女性の可能性をどれくらいこの社会で活用していくかということでしょう。日本でも、また日産においても、業績を通して人材は評価されていくと思います。「業績、そこであげる成果が、本当の意味での信頼を得ていくものである」と、わたしは考えています。
- 出典:
- 国際女性ビジネス会議