従来、特徴的な色が売れないという理由のひとつには、購入しようとする人が実際に自分の目で見て判断できないというのがあったと思うんですよ。
そこで、マーチの場合は、販売店にミニチュアのモデルを置いて、色を実感できるようにしました。
また、どの販売店にも5色全部を並べるというのは難しいことなので、地域によっては販売店間でネットワークを作ってもらい、その店にご希望の色がない時は隣の販売店へご案内するといった連携をしています。
食材を使ったイメージパネルなども、いろんな所で使っていただいて。
それぞれの色について、どういうシーンでどういう人が乗っているかというのを伝えていくようなテレビコマーシャルを流したり。
発表時には、日産の本社ギャラリーで「マーチのあるライフスタイル展」を開催しました。それぞれの色ごとにテーマ設定をして、家具や小物を置き、フォーカスカスタマーの仮想の生活空間をつくって展示しました。
色の発信部署はカラーデザイン部だったのですが、カラーを売っているんだという意識が他の各部署に浸透していましたね。
販売店などに行くと、マーチの色が原因で家族がけんかをしていたりするんですよ(笑)。娘さんはアプリコット、お父さんはシルバーがいい、お母さんはホワイトパール、なんてね。家族の会話のきっかけになっているのかなあなんて思う。
色で気持ちが高ぶる、楽しくなるっていうのを見ることができると、シンプルにうれしいですね。
(日産自動車・デザイン本部カラーデザイン部 吉富京氏 談)