ホーム > music@ > ハーモニーインタビュー >


今回のニューアルバム『Beyond』では、曲想や奏法などいろいろ新たな挑戦をしました。
たとえば、指やギターピックで弾く奏法。三味線は、基本的に右手の撥(バチ)で叩くという奏法ですが、あえてバチを使わずに指やギターピックで弾くことで、やわらかさや空気感を表現しました。渡辺香津美さんとコラボレーションした楽曲「tears…」もその一つです。最初にレコーディングした曲なんですが、バチで弾いた演奏にどうしても納得いかなくて。「どうしようかな」といろいろ考えた挙げ句、指やギターのピックで弾いてみたらそれが結構よかった。
三味線は音の瞬発力のある楽器なので、バチで叩くアタックをピークにマイクをセッティングすると、かすかな余韻が聴こえていてもマイクでは拾えず、カンカンとしか聴こえないような場合もあるんです。それはそれで勢いがあっていいんですが、スローテンポのバラードなどは、バチで叩くと曲のイメージを壊してしまう場合もある。そういう意味で、今回は、「動」というよりは「静」の新しい世界を創ることができたと思います。
『Beyond』というタイトルには、一つには今までの自分を超えるという思いがあります。あと、多くの日本人が抱いている「三味線は古典で、着物で、民謡で」といったイメージを超えて、世界の音楽として奏でることができるんだという意味もあります。
今までのイメージや固定観念、国境も超えて、いろいろな表現ができるんですよ、という気持ちが込められています。
楽曲として僕自身の印象が強いのは、「暁の光」です。昨年、アメリカ東海岸で、初めて僕がメインのコンサートをやるというとき、不安だった僕を勇気づけてくれた光景。飛行機の中から、今まさに昇る太陽の光が空に広がっていく、その瞬間を表現しました。
|
 |
ハーモニーインタビュー:上妻宏光
ハーモニーインタビュー へ
 |