ホーム > クルマ@ > 活躍する女性たち> 星野朝子氏


わたしが大学を卒業した1983年当時は、まだ男女雇用機会均等法もなく、就職するときに女性が差別される時代だったんです。そこで、「男女平等の昇進昇格」を掲げる数少ない企業の中から、日本債券信用銀行を就職先として選びました。大学で計量経済を勉強していたので、銀行で経済予測モデルなどを扱う調査部で数字と戯れようと思っていたんですね(笑)。ところが、国際金融部配属になり、毎日が「買った、売った、勝った、負けた」みたいな世界でした。
それはそれで楽しかったんですけど、気が付いたら国際金融部の男性は全員MBA取得者で、金融の知識も豊富ですし、海外赴任経験者が多いので海外のボロワー(借り手)とのネットワークもある。明らかに差があるんですね。そこで、このままやっていてもインターナショナルバンカーとしては使いものにならないと思い、「ロンドン支店に2年か3年か行かせてほしい」とボスに言いました。
しばらくしたら人事部から呼び出しがあり、「あなたのボスから申し出がありましたが、銀行側としては、今まで女性を海外に派遣した前例もないのでどうすればいいか戸惑っています」と言われ、愕然としました。大学を出て間もない新人で世の中を甘く見ていたのかもしれませんが、こんな理由で断られるなんて。
で、自分のキャリアを最初から見直さなくてはいけなくなったわけですが、世の中どんな仕事があるのか、さっぱりわからなかったので、大学の先生や先輩、友人を訪ね歩いたところ、大学のゼミの教授が「これからはマーケティングサイエンスだ」と言ったんです。20年近く前の話ですけれど、「今の日本では、マーケティングは愛だ“かん”だと言う人はいるけれど、サイエンティフィックに戦略を作っていくという人はいない。勉強するならアメリカだ。マーケティング理論とあなたのバックグラウンドの数学とで、マーケティングサイエンスの第一人者になれる!」と。それで、アメリカ留学を決意し、マーケティングの神様と言われているコトラー教授がいる、ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院に入学しました。
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市場情報室長(VP)星野朝子氏
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