海外をめざした理由とこれから挑戦する方へのアドバイス
私は企業による派遣というチャンスに恵まれて来仏しましたが、花の都パリには留学やワーキングホリデーなど、強い憧れと情熱とともにやってくる日本人が絶えません。
一方で、最近こちらの新聞でも取り上げられましたが、在仏邦人の「パリ症候群」と呼ばれる現象が論じられるようになりました。これは、パリに憧れを抱いてやって来たものの、現地の生活に適応できず、思い描いていた生活と現実のギャップに思い悩み、心身に支障をきたしてしまう人がいるということです。
私自身にも身に覚えがありますが、慣れない海外生活では、どこの土地でもある程度の困難はつきものです。しかし、パリの場合は他の外国都市に比べて圧倒的にそうした現地の環境に適応できない日本人の割合が多いのだそうです。
また、残念なことにフランスは言語や労働ビザの取得が困難などの問題から、どんなに熱意と努力を注いだとしても容易に現地で仕事に就くことはできません。しかし、これからフランスを目指して来られる方には目標の結果の如何に関わらず、この国を通して見えたこと感じたことを大切にしてもらいたいと思います。
↑パリの建物には建築年度が記されているものがあるー大抵100〜200年程前のもので、写真は1889年
パリの住宅事情は東京に引けを取らず、決して恵まれているとはいえません。まず、パリでは築100年なんていう建物は決して珍しくありません。そのため、常に水漏れや配電トラブルといった問題は免れません。 そして何よりも、住宅の需要と供給のバランスの悪さは年々深刻になっており、ユーロの導入とともに家賃はこれまでになく高騰しています。
パリのアパルトマンの家賃の相場は、20平方メートル程度のSTUDIOと呼ばれるワンルームで500〜700ユーロ(7万円〜9万円)、2部屋となると700〜1000ユーロ(9万円〜14万円)ほどです。 しかし最近では不動産屋に貼ってある広告、住宅情報誌などには、17平方メートルのワンルームに850ユーロ、30平方メートル・2Kで1200ユーロなんていう物件が溢れています。 そんな物件にもかかわらず、何十人と入居希望者が殺到するというのですから、事態はかなり深刻です。 かく言う私も熾烈な競争に勝ち抜いて、つい先月、新居へ引越したばかり。ちなみに家賃は47平方メートル・2Kで870ユーロ(12万円弱)ですから、適正価格というところでしょうか。
↑筆者の新居
↑新居からの景色ー映画の広告塔が見えてパリらしい
権利の国フランス
お金のない学生は申請をすれば住宅補助手当てを受けられますし、子供ができれば妊娠5カ月から3歳になるまで月々165ユーロの手当が口座に振り込まれます。子供が2人以上いれば更に115ユーロ、また学費も大学までほとんどかかりません。 職がなくなれば失業手当、医療費の負担も日本の比ではありません。これも高い税金を払っていればの権利です。 同様に、労働についても権利を主張するフランス人、労働時間も法律で週に35時間と定められ、オーバーした分についてはきっちり休みを取ることができますし、年間の休暇は5週間と定められています。
↑蚤の市(1)定期的に開かれている市場もあるが、各界隈に不定期にこうした市場が立つ
↑蚤の市(2)家具や食器などアンティーク品に限らずいろいろな物が見つかる
2.イギリス/ロンドン