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升永英俊さん
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サラリーマンであっても発明をして富を産めば
- 升永
で、これは中村さんが1人でやったわけです。だから、彼にそれ以上のことを要求して、これは最高裁に行けば、彼はもうあのとき54歳ぐらいでしょ? それで、裁判はたぶん10年でしょうね。私はいいですよ、私は裁判で生き生きするから。だけど、彼は裁判よりサイエンティストをやったほうが、もっと生き生きするわけですよ。彼は凄まじいスーパースターですよね。溢れるエネルギーがあるサイエンティストであるわけですよ。彼にもう一度、サイエンティストとして、彼しかできない大発明を人類のためにやってほしい。となると、彼は、もうここで、8億4,000万円で十分に世間を動かしたわけですよね。彼は、新しい職務発明のルールを作ったわけです。
- 佐々木
そうですね。上限が1,200万円だったのに。
- 升永
会社で2万円しかもらえなかった彼が、8億4,000万円まで行ったわけですからね。それも、嫌がる会社に、無理やり職務発明の対価を支払うことに合意させたわけです。これで日本の技術者は、アメリカの技術者もドイツの技術者もイギリスの技術者も持っていない、非常に有意義な権利を手に入れたのです。サラリーマンであっても発明をして富を産めば、会社は80パーセント取るけれども、サラリーマンのあなたは給与以外に20パーセントの利益を得るというルールができたわけです。米澤博士対日立製作所の最高裁判例は、20パーセントの対価請求を発明者に認めたんです。それは、私と荒井裕樹弁護士が担当した日立最高裁事件ですよ。
- 佐々木
そうですね。
- 升永
会社は米澤博士の特許で左うちわになっているんですよね。でも私と荒井裕樹弁護士は、やっぱり20パーセントは発明者に、支払うべきであるという最高裁判決を勝ち取ったわけですよね。だから、こういう形で職務発明のルールはできたんです。それは法律家と中村先生が作ったルールです。どこの国も持っていないルールを日本の技術者は勝ち取ったんだから、今度は、1兆円の発明をするのが、技術者の仕事です。1兆円の富を生む発明をすれば、その20パーセント、2,000億円を技術者は稼げるじゃないですか。
だから、もうこれ以上のルールはない、世界中にないルールが生まれたんだから、その中村さんが作ったルールに乗っかって、技術者であるあなたが、1,000億円、1兆円の発明をしなさい、というのがメッセージですよね。
- 佐々木
そうですね。仕組みを作られたわけですね。
- 升永
彼はそこで8億4,000万円の発明の対価がもらえるという十分な仕組みを作ったわけです。
- 佐々木
でも1,200万円以上と思っていたから、800億円と一回聞いてしまうと。
- 升永
少ないなあ、と中村さんはその時思ったわけですよね。604億円というと。あれは元金だから、10年分ぐらい遅延利息がついているから、遅延利息を入れると合計で822億なんですよ。遅延利息を入れると、合計で822億円ですよ。だから大変な判決なんですよ。
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