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升永英俊さん
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人類が誰も経験していないルールが、日本から生まれた
- 升永
8億4,000万円。
- 佐々木
8億4,000万円で合意されたんですね。今回、升永先生にお会いすることになり、プロファイルを拝見したのですが、800億円、200億円、という数字が出てきたり、無収入の方の交通事故で2億円の支払いを勝ち取ったとか。
- 升永
2億6,000万円ですね。
- 佐々木
というのが出ていて、「凄腕弁護士」というふうに出ているんですけれども、私はむしろ中村さんの研究生命を考えて、8億4,000万円で和解をお勧めになったというところに大変関心を持ちました。金額が大きいと、何だか知らないけど、ものすごい要求をする人だ」というふうに伝わる場合があるじゃないですか。
- 升永
「非常識な要求をするやつだ」とね。
- 佐々木
目の前に変だと思うことがあると没頭するし、何でもやりながら生きてきたのだとわかりますが、ただ、メディアに出る先生のプロファイルの、「こういう状況で何億円勝ち取った」みたいなのが、やっぱり目立って出ると……。
- 升永
僕は自分でメディアに言いますしね。言いふらし屋だから、非常に金に汚いというか、金目当てだと思われるでしょうね。
- 佐々木
でも、そうではなくて、私は、その8億円で結局和解を勧めていらっしゃるところというのは、やっぱり正義なんだろうと思ったんです。もちろんお金は対価ですから、あったほうがいいんですけれども、でも裁判の本当の目的って何か、ということがあるわけで。何年もかければ、800億円を取れたのでしょうけれど、今後すべての研究生命をなげうってすることは、中村さんの幸せではない。でも一方で、判決として認められ事例を残すということに意味もある。それも一つの支えとして、次に歩んだほうが、本来の裁判の目的や、生き方の目的や、あるいは社会教育になったという、ご判断をされたんだろうと勝手に読んだんですね。
- 升永
非常に好意的に、過分に見ていただいたんだけど、私があのときに判断したのは、やはり中村さんがやったことは、世界のどの国にもない、職務発明というルールを作ったということですね。あの裁判で中村さんが訴えて、8億4,000万円で和解したんですけれども、世界的に人類が誰も経験していないルールが、日本から生まれたわけですよ。
12/20
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