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山田昌弘さん
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私、本当は逆にしなくてはいけないと思うわけですよ
- 山田
最近、公務員志向も強まっていまして。
- 佐々木
公務員。
- 山田
私も国立大学法人化以前は公務員だったですが、一生懸命やったって、なかなか評価されない業種ですし、最近、とにかく叩かれまくっているじゃないですか。だから「どうしてなりたいのか?」って聞いたら、やはり、「リスクが少なそうだ」と言うんですよ。
- 佐々木
なんだか、リスクというものの考え、定義が違うんでしょうか。
- 山田
そうなんですよ。結局、危ない、つまり、ハイリスク-ハイリターンで上の方にいくというよりも、特に日本の若者は下に落ちないことを、とりあえず第一の前提条件として考えて、能力を発揮するチャンスがあるところに行ってくれない。
その結果、どうなるかというと、割と学力が優秀な人が、大学でもそうですけど、勉強ができる人たちがリスクなく安定的な公務員や大企業の方に行ってしまって、逆に本当は安定した仕事をさせた方がいい、そこそこの能力の人たちが、自由にしろと言われ、フリーターみたいな自由市場に放り出される。私、本当は逆にしなくてはいけないと思うわけですよ。
フリーターとか、高校中退とか高卒とか、そうやってコツコツやるのが適している人というのは公務員みたいな安定した職に就いていただいて、逆に能力がある人は、どんどんリスクのある世界に入っていく。たぶん中国とかアメリカとかは、そういうふうになっていると思うのだけれども、日本はそれが逆になっている。これは今の日本は将来、大丈夫かなと私は思うところなんですけど。
- 佐々木
リスクという言葉の定義が、私とは全く違う。例えば、私からすると、経済的な、つまり「収入面でリスクがある」というのは、自分が今、100万円持っている、これがなくなるかもしれない、あるいは増えない。人によって、増えないことがリスクなのか、なくならないことがリスクなのかという違いもあるでしょうが、とにかくリスクをお金という視点で考える。それが一つ。
それから、やりたいことができるという「自由度、裁量という視点でのリスク」。私は自分が収入を得ないで人のお金で暮らすという体験があまりないのですが、なぜそういう道を選んだかというと、自分がコップを買いたいと思ったときに、誰にも相談しないで好きなものが買えるという自由が、私にとってはとても健全で大切なものなんです。お金のあるなしに関係なく、そういう権利、自由度がなくなるというのが1つのリスクじゃないかなと考えるんです。その他も、もしかしたら健康という面でのリスクだってあるだろうし。
先生のお話をうかがっていると、多くの学生がハイリスク、ハイリターンとか、あるいは、リスクを取らないといったときに、収入面だけで考えているように思えましたが。
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