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窪木登志子さん
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気持ちが本当に伝わるような文章じゃなきゃ
- 佐々木
「文書作成力」というのは、契約書を作ったり、あるいは訴訟の書面も?
- 窪木
はい、訴訟の書面を作ったり。あるいは交渉中に作る書面というのがまた大事なんです。たとえば会社が謝罪側に立つ場合には謝るんだけど、相手方にも過失がある場合には、どの程度謝るか。100パーセント悪ければ100パーセント謝るんだけど、でも損害や因果関係については争いがあるということがあるので、そうすると、全体としては謝っている気持ちが伝わるけど、ここは踏みとどまっているのよ、ということも、ちゃんと読めば残っているっていう風にします。
- 佐々木
戦略ですものね。
- 窪木
戦略ですね。それは文書作成力に限らずですが。
- 佐々木
戦略的に複雑になることはわかるのですが、そもそも法律の文章って、硬いというと単純な言い方ですけど、普通の日本語じゃないじゃないですよね。
- 窪木
特に法律の条文がね。
- 佐々木
でも、今みたいなお詫びだったり、契約書は、分かるように書かなければ、意味がない。
- 窪木
文章はどんな場合でもそうだと思うんですけど、法律文書だって、一読して、まず意味が分かるし、謝罪の文章であれば謝罪の気持ちが本当に伝わるような文章じゃなきゃおかしいと思うんです。
- 佐々木
それは、弁護士が必ずできるというスキルじゃなさそうですよね。
- 窪木
どうかな。でも、目標にすべきだと思うんですよね。契約書も、ですます調の契約書があまりなかった頃にも、私は、ですます調のほうがいいんじゃないかと思うときは、ですます調の契約書にしたりしてました。
- 佐々木
少しトーンを柔らかくしたり。そういったことも、先程の品格と関係してくるのでしょう。
- 窪木
依頼者に、まずは分かりやすく、ですよね。押しつけてはいけないし、かといって依頼者の言うとおりに言ったのでは、弁護士としてプロフェッショナルではないと思うので、やっぱり依頼者と一緒に、それこそ本当に同じ方向を向いて一緒に交渉していく、一緒にやっていく、お詫びしていく、ということをやりましょう、と。だからまず論理がきちんとしていなきゃいけないと思うんですけど、論理とそれに加えて情と。
- 佐々木
両方が大事なんですね。こういうことを今、学生に教えているわけですね。
- 窪木
大学院生、法科大学院生ですね。早ければ22歳大体25歳ぐらいです。
- 佐々木
その学生達は、こういうことの学びの姿勢はどうですか? 最近。弁護士は合格ラインが低くなったり高くなったり、課題が多いですが。
- 窪木
いろいろあるんですけど、少なくとも私が直接会っている学生さんは皆さんすごく真面目で理解してくれる人達です。中には、職を経て40歳を超えていらっしゃっている方もいます。
- 佐々木
そういう人はすごく人生経験があるから、いい弁護士になるでしょうね。
- 窪木
そうなんです、なると思う。ぜひ期待しています。
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