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窪木登志子さん
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弁護士としてのヒヤリングは
- 佐々木
何もすごくないですよ。ただ、自分が取材をたくさん受けるので、「どういう人が取材がうまいかな?」と見ていると、私のことをちゃんと勉強してきていて、聞きたいことがいっぱいあるという人は当然上手ですよね。でも、それ以上に上手な人というのは、私が言っていることを聞いている人なんですよ。だめな人は、用意してきた質問を読み上げるだけ。私の答えとリンクしていかないし、会話が深まることもないんです。
それで、わたし自身はどうかと振り返ると、ウィンウィン対談は、私がテープ起こしを読んで編集をしているのですが、詳しくテープ起こしを読むと、「あれ? この人、こんなことを言っていたのかな」というのに、いくつも出くわすんです。どうして私は、ここで、こんな風に聞き返していないのだろうかって思ったり。とても勉強になります。だから私も、すべては聞こえていないんですね。
- 窪木
なるほどね。私の弁護士としてのヒヤリングは、相手が法律的な解決を求めにいらしているので、法律がどうなっているかというのは、こちらはバックグラウンドがあるわけですから、ある程度その要件についてお話してくださるように誘導するんです。でも、基本的にはずっと聞いているように感じてもらえるのが一番いいんですね。自分がずっと話しているっていうふうに思ってもらえるのが一番いい。全部吐き出してきたって感じてもらえるようにするんです。
ただ、あまり関係のない話に広がるのは困るので、そこは「要件事実」っていうんですけど、法律が求めている要件にあてはまるかな、と確認しながら聴く。
もし請求する側で、大体四つの要件が必要だったら、お話をうかがっている中で三つは大丈夫だ、じゃあ、後の一つの要件について聞き出していこう、というふうに考えて、誘導するんです。ただ要件を聞くんですが、「要件は何ですか?」とは聞かないで、「ここは、どうなんですか?」と普通の言葉で話すようにします。大体争点となっているところは、いらした方は話すことがたくさんあるんですよ。だからそれをずっと聞いていればいいという感じになって、あとは時間の調整でしょうか。
- 佐々木
つまり、相手も人間だから、問題解決をするためだけにポイントだけを仮に5分で話し終わっても、実は先程の満足度の意味では低い。ストレスを吐き出したうえで解決してくれないとダメだから、弁護士側は両方を見なくちゃいけない、ということですね。だから吐き出してもらう中では若干幅があってもOKで、でも法律的視点から必要な条件を満たすネタをちゃんと伝えてくれているかどうかを確認し、誘導する、と。面白い。
- 窪木
もう一つ加えると、会社関係の仕事では、迅速にスピーディーにやっていくし、会社の方も、女性男性に限らずポイントをつかまえてくれるんですけど、逆につかまえすぎちゃって、「そういうことも証拠になるんですか?」と言われることもあるので、周辺をほじくってあげるというか、サウンドしてあげることもあるんです。
- 佐々木
そうか。向こうが「これです」と逆に絞りすぎちゃっているのね。
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