
ミニアルバムを立て続けに3枚つくろう、三部作を制作しようと計画したとき、それまでのように曲があって詞を書く、というやり方ではなくて、言葉を先にしたいなと思いました。だったら、わたし一人の言葉で世界を築くよりは、作家とのコラボレートがおもしろそうだなとも思いました。
昨年、『ある愛の詩』という手記を書いたんですけれども、あのあたりから小説というものに対する興味が深まったのかもしれません。歌詞と小説とは全然違うものだと、よしもとばななさんもおっしゃってましたが、「魂を込める」という面では共通な感じもします。
女性の作家とコラボレートをすることによって、詞がいちだんと際立って、深く人の気持ちに入っていける楽曲になるんじゃないかなと思ったんです。
以前からずっと、よしもとばななさんの作品を読んでいました。そこには、ばななさんでなければ、という世界観があって、女性として共感するし、読んでいるとスーッと入ってきて心がとっても温かく、強くなる感じがして。
三部作第一弾に、ばななさんが書いてくれたら最高よねと思ってました。ダメでもともとでお願いしようと心に決めたら、彼女もわたしの音楽を聴いていてくれたというので、すごくうれしかった。そういうのって、なんか勇気も出るじゃないですか。
書いていただいた原稿を最初に読んだとき、震えるぐらい感動しました。小説としてすばらしいのはもちろんだけど、それ以前に「わたしのために書いてくれた!」ということ自体がありがたくて、うれしくて。
原稿をいただいて、わたしが詞を書き、小説を朗読し、歌をうたう。そういう創作の流れの中で、どんどん学んでいく感じがありました。ばななさんが書いている女性観みたいなものを、いったん自分の中に入れて、また外に吐き出していく。
そうすることによって、今まで感じていたことでも「こういう表現の仕方があるのね」と気付いたり。「わかるわかる、わたしの中にもその感情があるわ、そんな涙もあったし」と共鳴したり……。そうやって生まれてきたものは大切にしたいし、それがやっぱり今回のコラボレートのたまものではないでしょうか。
このリポートを読まれて、感じたこと、考えたことをぜひ教えてください。あなたのご意見をお待ちしています。
投稿する