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伊藤元重さん
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暇な時間は、全部読んでいます
伊藤
私の場合は、経済学者ですから、大学の学部の頃は、今たまたま同僚になっている人と2人で、ジョン・メイナード・ケインズの「一般理論」の読書会を毎週やったことをよく覚えていますよね。当時の本を取り出してみると、すべてのページが書き込みで真っ黒になっていました。
後で考えてみると、1年間、一生懸命読んで、結局分かったことは、「何も分かっていなかった」ということなんですけど、しかし、読む過程で、いろいろ考えたということでしてね。
ただ、読むことに関していうと、私はたぶん読書中毒みたいなところがあって、「どういう時に本を読みますか?」って聞かれたら、お答えは、「暇な時間は全部読んでいます」と。
佐々木
そうですか。でも、暇な時間っていうのが、あまりないように思いますが。
伊藤
最近、ちょっと詰まっていて、減ってきましたけれども、それでも、例えば地下鉄の中で読みますし、今日も、急に時間が40分空いたものですから、すぐに喫茶店に飛び込んで、今、読んでいる中国経済の本を20ページ読むとか。夜は、一番の楽しみは、布団に入ってから読む本で、最近はすぐ寝ちゃうんですけど、今は、村上春樹のチャンドラーの翻訳が出ていますよね、あれを。
佐々木
小説も読まれるんですか?
伊藤
小説もよく読みますよ。どっちかっていうと、小説よりはノンフィクションの方が好きですね、特に、さっきの朝鮮半島ものだとか、石油ものだとか。あるいは今、ブッシュ政権についてのWoodwardの本が出ていますよね、一番最新作の『State of Denial』という本。要するに、ああいう本が好きなんです。でも、やっぱり小説は、かなり限られています。若い頃は何でも読みましたけどね。でも、僕の特技は、読んだことをすぐに忘れちゃうんですよ。
佐々木
え? 先ほどは、書いたものはすべて覚えていらっしゃると言ってたですよね(笑)?
伊藤
そう、自分で書いたものは覚えているんですよ。ところが、推理小説とかはね、1年ぐらいすると、また同じ本を楽しめるんですよ。困っちゃいますね。推理小説は、いつも読んでいるわけじゃないんですけど、やっぱり時々読みたくなることがあって。
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