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金平 敬之助さん
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練習をやめなさい。試合を楽しませなさい
- 金平
で、2チーム出したときのことをもう少し詳しく紹介しましょうか。Y先生はAとBのチームをつくったんです。Aチームは3年生中心の強いチーム、Bチームは1、2年生。それで大会に出たのです。もちろんBチームは一回戦で敗退したそうです。ところが、この前後にいただいたY先生の便りに感動しました。「金平さんね、あんなに父兄が盛り上がったことはない」って書いてあるのです。「『自分の子どもがまさか試合に出るなんて、信じられない』と言って、大勢の家族が応援に来るし、もう、すごく盛り上がった。その雰囲気のお陰で、Aチームが優勝した」って言うんですよ。面白い話でしょう?
この話、私がずいぶん絡んだように言いましたが、まちがいなくY先生の魅力が生んだ話です。念のため、言っておきますが……。
いずれにしても、スポーツの部活は練習ばかりするからいけないんですよ。皆、ゲームをやりたいんですから。サッカーだってそうです。徹底的にゲームを楽しませたらいいのですね。練習時間を思い切ってカットして……。
- 佐々木
そうですね。1年生の息子が聞いたら大喜びすると思いますよ。さっきお料理を作ったってお話した子は、とてもユニークで、1年生に入学してすぐに、おたふくになって学校を休んじゃったのが、きっかけになって、学校も行きたい日と行きたくない日があるんです。
ある日「少年野球に入りたい」っていうので、これはいいと思って参加させた。野球が好きなんですね。で、大好きで行っていたんですが、夏休みのお休みがあったら、9月から「行かない」って。どうしてって聞いたらね、「皆と一緒に、まず走るのが嫌だ」って言うんですよ(笑)。それで、「嫌なんだったら、じゃあ、お母さんが一緒に走ってあげるから、行かない?」って言っても、「嫌だ。僕は、打つのが好きなんだ」って。
「でも、野球って、打つばっかりじゃないね」って言ったら、「いや、僕はピッチャーも好きだし、打つのも好きだけど、皆と一緒に走るのが嫌だ」って。チームで一緒に順番をずっと待ってて、1回ポーンとやって帰ってきては、後は皆の応援をしてて、皆と一緒にグランド何周とかっていうのは、もう彼にとっては、いま、とても耐えられないらしいです(笑)。試合は楽しみみたいです。でも私としては、だからこそチームに入って、チームワークや忍耐力も鍛えて欲しいと思っているんですが。
- 金平
いや、それは、お子さんの方が正しいのですよ。
- 佐々木
正しいんですか(笑)?
- 金平
「しょうがないから我慢しなさい」って言うより、「あなたの方が正しい」って言ってあげた方がいいです。ゲームを楽しみたいのですもの。まったく私の考えを裏付けてくれたような話で、私はご長男に感謝しないといけない。勇気づけられました。繰り返しになりますが、私はほんとうに真剣になって訴えているんですよ。「練習をやめなさい。ゲームを楽しませなさい」って。
- 佐々木
楽しいでしょうね。
- 金平
楽しいですよ。だって、ゲームしたいのですもの。誰が、球拾いしたいですか? こういう話をしていると、私は興奮して切りがなくなります(笑)。
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