ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第87回 金平 敬之助さん

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金平 敬之助さん
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風景をよくするための言葉は
- 金平
最近、私は人の集まりにとって風景って本当に大切と強く思うようになりました。
- 佐々木
そうですね。会社の風景、学校の風景、町の風景。確かに。
- 金平
風景をよくするためにはどうしたらいいかって言うと、トップやリーダーが、相手の身に心を行き届かせて、言葉を行き届かせたらいいのです。これができると、風景がどんどんよくなります。
大リーグの監督は、これができるから務まるんです。大リーグの監督が、ベンチの中で選手を殴りつけたことはおそらくないでしょう。
「どうして大リーグに、皆、行きたいのか」と言うと、最高の晴れ舞台だからっていうのがありますけどね、もう一つは、尊敬してもらえるからなんです。プレーヤーとして。だから、行きたいのです。
お金の問題より、もっとその方が大きいですよね。怒鳴りつけられたり、殴られたり、そんなところでプレーしたくないですよ。その代わり、大リーグの監督は選手に言葉を行き届かせていますね。想像以上に……。
- 佐々木
言葉がね。英語だと、また格好よく、いろいろほめてくれるわけですけど、日本語ではどんな言葉があるのでしょう。金平さんは、作家でいらっしゃるので言葉の重みとか、言葉を選ぶとか、言葉っていうものに対してさまざまな思いがあるんじゃないかなと思うんです。お葉書をいただいても、やっぱり、その一言に込めたものがありますね。
- 金平
私が作家っていうのは大袈裟ですが……。
私はテレビ朝日に出演したことがあるんですよ。早坂茂三さんの30分番組です。原稿なしの生放送。一対一の対談です。そのときいきなり聞かれました。「奥さんと仲がいいそうですね」即座に「はい」って答えました。「コツはなんですか?」これもすぐ答えました。「相手がわかっていると思うけれど言わなくちゃいけない。しかも繰り返して言わなくてはいけない言葉を、自然体で一日に十数回お互いに言っているからです」「それはどんな言葉ですか?」
「『ありがとう』と『ごめんね』です」だから、どんなに仲よくても、「ありがとう」と「ごめんね」は言う方がいいと思いますよ。口に出さなくてもっていい、という人がいますが、それは単なる言葉の横着者、言葉の怠け者にすぎません。やはり「ありがとう」と「ごめんね」は惜しみなく繰り返し言うべきですよ。
私が料理を作ったら、大変ですよ。「美味しいか? 美味しいか?」って、食事中何度も聞いたりしますよ。それで、「ありがとう。美味しい」と返してくれるとすごくうれしくなるのです。
- 佐々木
(笑)わかります。私も家族には、言葉にする大切さをいつも話しています。それに、私の場合は、自分で言うんですよ。朝ご飯を子どもに出すときにね、「素晴らしいお母さんだわ。こんな美味しいご飯を作ってくれるなんて、本当にお母さん、ありがとう」って。すると子どもたちが笑いながら「お母さんありがとう」って。まずエンターテイナーになって言葉を発することを教えている(笑)。
- 金平
さすが、やっぱり佐々木さんです。素敵な社長と同時に、素敵なお母さんですね。素敵です。ますますファンになりました。
- 佐々木
いいえ(笑)。やっぱり、言葉を選ぶのがどうして大切かというと、自分で言っている言葉っていうのは自分が一番よく聞いていますから、結局は自分を洗脳するためのものでもあるかなって。人への贈り物でもありますけれども……。
- 金平
それはあるでしょうね。言うことによってね。
- 佐々木
やっぱり、他人に言うっていうのは、ただ相手に言うっていうよりも、自分がそれを聞く、言っている自分というのも理解できるし、「ありがとう」という言葉を、もし10人の人に1回ずつ言えば、自分は10回聞けますからね。
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