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金平 敬之助さん
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友だちと比べなくていいよ
- 金平
教室の中の名言というのがあります。その名言中の名言と、私が思っているのは「友だちと比べなくていいよ」というのです。
比較しないと、生徒一人ひとりをよく観察することになる。きめ細かく観察しなくてはいけなくなります。ご長男の学校は、比較しない大切さを、学校はいつの間にか親に教えてあげようとしてやっているのだ、と思います。
会社の経営もそれと同じです。生き生きなさっているじゃないですか、佐々木さんの会社は。正解ですよ。会社の風景がとてもいいです。
- 佐々木
ありがとうございます。
- 金平
私は学校の先生の研修で、つぎは校長先生になるかもしれない方に「学校のトップになられたときの勝負は何か。答えは『職員会議の風景をよくすること』ではないでしょうか」という訴えをすることがあります。
「だけど、いまいらっしゃる学校の職員会議はどうですか。参加したくない職員会議になっていませんか」と言うのです。「会議は職員室でおやりになることが多いでしょう。先生の机には書類が高く積み重なっていますね。そうすると、その陰に隠れて、校長先生がしゃべっている間は通知表かなんかつけている先生がいる。放課後『今朝は校長の話の間に6人分つけた』とかいって自慢し合っているようなことありませんか」こんなことも率直に言うのです。こんな学校がいい子どもを育てられるはずはありませんね。
では、職員会議の風景をよくするにはどうしたらいいのか。それは、職員室でやればバラバラになり、わかりにくいけれど、もしコの字型で会議したらどうですか。腕を組んで「俺、面白くねえな、こんなところに坐っているの」といったような、ベテランの、定年3年前ぐらいの先生が目立つわけですよ。そんな「面白くねえな」っていう顔をしている人がいると、職員会議に、皆、出たくなくなります。
だから、「校長先生になったら司馬遼太郎さんになるといいですよ」とアドバイスします。また変な飛躍した言い方をしますけれど。「司馬遼太郎さんになる」というのは、司馬遼太郎さんの口癖を真似したら、ということです。「君、どう思う?」という口癖です。このひと言で、相手は「司馬さんからものを聞かれた」と大感激するのです。その場で「瞬間的に主役」になるのですね。
瞬間的に主役にするのはね、佐々木社長さんが部下に、「あなた、私、こういうことを考えたんだけど、あなたはどう思う?」って意見を聞いたら、相手は瞬間主役になるわけですよね。社長に「大切な存在」と認めてもらった、という気になる。
それと同じことで、校長先生が「これは、ベテランのA先生の意見を聞きたいんですけど」って言うと、相手は瞬間主役になる。悪い気はしない。それを半年間続けてごらんなさい。職員室で坐っているときの表情が変わってきますよ。柔らかくなる。明るくなる。こうなると、若い先生も職員会議に参加したくなる。こうして会議の風景がよくなるのでは、とこんな訴えを校長先生候補にしているわけです。
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