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陰山 英男さん
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…追伸… 公立小学校校長から、私学立命館へ?
- 佐々木
対談を終えた直後に入ってきたニュース、驚きました。対談中に将来のお話を伺っていて、2006年3月で校長を辞められて、シンクタンクを作られるのかな、と想像していましたが、私学の立命館小学校の副校長とは。これは、どんな理由で?
- 陰山
まだ、県の教育委員会との話が終わっていませんから、この話について多くはコメントできません。ただ、今話題になっているのは、立命館大学の教育開発支援センタ−の責任者という仕事があるということです。そこでは、新しい指導法の開発とそれを広げる活動をするのです。つまり教育シンクタンクの創設のことです。
また、立命館は今も小中高校の教職員を何百人と輩出している大学であり、今後それを小学校の教職員を中心に大幅に増やしていく計画もあります。それは教育界の2007年問題に対する意識を持っているからです。立命館小学校については、その研究開発拠点の1つです。
- 佐々木
公立小学校を支持している人たちからすると、「陰山先生も、ついに、公立の限界を感じて私立に?」なんて思っているのではないかと想像するのですが。
- 陰山
そもそも公立と私立との間の教育課程の壁が、保護者の不安を増幅してきました。いったい私立ではどういう教育をやっているか、それがわからないために、無用な受験競争が加熱し、それが子どもたちの生きる力をそいできました。
実は、公立の復権や復活はもうすでにだいぶん進んできていると思います。そもそも教育は公立だろうと私立だろうと公的なものです。意外かもしれませんが、このことが知られないために、保護者自身が教育問題を作っているという面もあるのです。
重要なのは、この壁を打ち破り、子どもが伸びるということがどういうメカニズムなのか、誰にもわかることが問題を解決していく鍵になるでしょう。公立でも、まず、保護者の側の意識が変わり、学校が学習指導に専念できる体制を作ることが望まれています。そうしないと、確かにお金のある人は私学を求めて逃げ出していくでしょう。
すでに、僕の指導法は、海外でも大きく広がってきました。韓国や中国、東南アジア、アフリカ、中南米などでも、一部ではありますが、百ます計算を始め多くの実践が始まっているのです。そうしたことからくる要望が急速に拡大するなか、私が一部の私立小学校の子どもたちだけのために、努力するなどということは、まったく考えられない話しなのです。
- 佐々木
わかりました。子育てしている親としても、自分の責任を痛感しながら、先生のリーダーシップと改革に期待したいと思います。これからも、日本の子どもたちが健康、健全に成長していく環境を、どうぞ作っていってください。今後ともいろいろ教えてください。ありがとうございました。
対談を終えて
「百ます計算」に触れたのが、わが子が小学1年生になったときのこと。インパクトのあるプログラムで一躍有名になった公立小学校校長、という陰山さんですが、とにかくエネルギーがあふれている人。教育改善のために、山ほど試したいこと、調べたいこと、伝えたいこと、実践したいことがある、という情熱と勢いを感じます。広島から飛行機でとんぼ帰りしながら、東京での委員会や打ち合わせに参加されています。行動力、です。この対談も忙しいスケジュールの中、羽田空港で行われました。話し始めたら止まらない! それも楽しい話がいっぱい。それなのに終わったら「ねえ、今日変な話いっぱいしちゃったなあ。やり直し、しません? もう1回やりません?」と。2006年4月からの立命館でのお仕事、とても楽しみです。
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