ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第62回 陰山 英男さん

62 |
陰山 英男さん
|
|
|
睡眠時間が増えると、テストの点が上がる
- 佐々木
新著『学力の新しいルール』の中で分析をされたというのは、まず睡眠時間についてですか? それは具体的には、何時に寝て何時間寝るといいとかっていうのが、数字で出ているんですか?
- 陰山
出ています。たとえば広島県の調査を見るとね、睡眠時間が5時間未満の子どもは、テストの平均点が50点くらいしか取れないんです。これが、睡眠時間が1時間増えるごとに5〜6点ずつ上がっていって、睡眠時間が7〜9時間だったら、テストの平均点が70点ぐらいで安定するんです。
- 佐々木
長すぎるのはダメでしょう?
- 陰山
長すぎると、また落ちてくる。
- 佐々木
そこが肝心ですよね(笑)。
- 陰山
そう。だからね、望ましい睡眠っていうのが、提起できる段階になってきたのです。子どもたちの睡眠とか食事とかを調べちゃいけないっていう考え方があったのです。そのため、実際に子どもたちの生活を調べようとすると、プライバシーの侵害って言われたんです。
- 佐々木
考え方があったというのは?
- 陰山
社会全体で管理教育批判ってあったでしょ。子どもたちの生活を調べるっていうことは学校の管理教育で、子どもの自由を拘束するという批判があったんですよ。
- 佐々木
それは、たとえば家庭訪問がなくなったり、もしくは訪問しても、家には入らず玄関先で話すだけっていうのと、同じ?
- 陰山
そう、同じ傾向です。だから、より望ましい家庭のあり方ということが議論できなくなったわけ。そのために、子どもたちがどんな生活をやっていようと、それは個人の自由だと言うわけ。生きようが死のうが放っといてくれ、っていう。そうした期間がずいぶん長かったんですよ。
- 佐々木
より望ましい生活のあり方を、学校や社会全体でもう少しきちんと理解しなくちゃいけない、ってことですね。
- 陰山
そう。そのために、私はやってきたのです。以前は、ものすごく批判は多かったけれども、それでもやりました。とにかく、調べるだけ調べて、指導するだけ指導して、あとは、それを取るも捨てるも、社会の、あるいは個人の自由です、っていうところまでやったんです。
6/32
|
 |
|
|