ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第24回 鳥越俊太郎さん

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鳥越俊太郎さん
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自分の目でちゃんと見たか
- 鳥越
そうですね。でもね、その便利さゆえに、それを悪用することもできるわけですよ。
たとえば、飛行機がどこかの山の中で墜落したとします。「おまえ、取材に行け」と言われた記者がね、ノートパソコン一台持って新聞社の隣にある喫茶店に入って、各国の通信社が配信している資料をどんどん読み込んで、メモして、そこで記事を書いてしまうことができる。臨場感ありありの原稿を、隣の喫茶店から送ることができてしまうんです。自分では現場に行かず、まったく取材せずに。
- 佐々木
その怖さ、ありますね。
- 鳥越
実際に、アメリカではそういうことがありましたよ。
- 佐々木
たしかに、情報も映像も、どこにいても手に入るようになってますからね。そういえばこの前テレビで、アリバイサイトというのを紹介していたのを思い出しました。携帯にカメラがあるから、今どこにいるのかを証明せよと言われたら困るだろうと、さまざまな場所やシーンの写真を提供しているサービスなんです。残業だとウソをついてマージャンしている会社員が、奥さんから「今いる場所の風景を映して送って」って言われるとマージャン店なのに、職場風景の写真を取り込んで、自分の姿を合成して送れるんですって。
- 鳥越
東京駅の八重洲口に全国のおみやげ物が売ってるのと同じですよ。東京駅で鹿児島の名産品を買っておいて、「鹿児島に行ってきたよ、はい、おみやげ」と言いつつ、実は誰かと仙台に行ってたとか(笑)。
だからインターネットって、けっこう、怖いところがある。事故の現場に行っていなくても、まるで行っていたかのように書ける。ひょっとしたら、現場に行っているほうが取材の情報量が少ないかもしれませんし。
- 佐々木
そうですね。本当に、情報をどう読むかのメディアリテラシーを受け手が持たなくてはいけません。
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