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廣田尚子さん
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出発/オリジナルブランドの成功
- 佐々木
会社を辞め、独立しようと思った一番のきっかけというのは?
- 廣田
その初めて出した「国際バッグデザイン豊岡」のコンペで金賞をとったことですね。
それが終わって、いよいよということで独立。HIROTA DESIGN STUDIOを設立しました。
- 佐々木
オリジナルデザインのバッグのブランド「NAOCA」の立ち上げは独立してすぐ?
- 廣田
豊岡のコンペに出した後、会社に勤めていたころからシリーズはつくっていたんですが、それを仕事として売り始めたのが独立してからということです。
- 佐々木
何作ぐらいあるんですか?
- 廣田
トータルで60近い数をつくってきましたが、現在定番として残っているのは、37タイプです。一番初めにつくったのが、このピンクのバッグと同じシリーズです。
- 佐々木
シンプルで、素材も形もユニークですね。これが、廣田デザインの特長?
- 廣田
世の中にないもの、見たことのないものをつくりたかったんです。最初は本皮でつくっていたのですが、ある意味ありきたりでした。そこで、それまでかばんに使われていないような素材を使ってみようということでつくり替えました。
この素材、実はダイビングウェアの素材でできているんです。以前仕事でかかわっていたオートバイのシートに、この素材が使われていたんですが、それが記憶にあったので。
形はジーンズをはいていても持てる、ちょっとしたパーティーにも持てるように。オールマイティーに使えるものをと考えました。
こんなに丸みがあって、中にいろいろ入るのですが、一枚でしょう? 立体裁断なんですが、つくる側からするとこれが難しい技術なんです。
- 佐々木
このファスナーも、おもしろい。普通は上から開きますよねえ。
- 廣田
そう。バッグを肩にかけたままでも、定期券なんかを出し入れできるように、ファスナーが下から開くようにしました。
企業から依頼を受けた製品では、書類を入るバッグや、旅行用のバッグもデザインするんですが、自分のブランドとしては、このラインに限ってやることにしました。
- 佐々木
ライン、っていうのは、どういうコンセプトになるのでしょうか? 具体的には何を特長として継続されていくのですか?
- 廣田
いくつかキーになるものを設けているんです。まず、すごくカバンらしいものは世の中にたくさんあるので、そうではなく、わたしにしかつくれないものということです。
次に、立体裁断という手法です。ご覧のとおり、底のマチがないんですが、ちゃんと中身が入る。こういった形をつくるのには特殊な技能が必要ですが、それを使うことで、新しい形や使い方をつくり出すことができる、ということです。
あともう一つは、すごく驚きがあるものということです。
たとえば、ナイロンのトートは、ショッピングバッグのようなイメージしかないと感じていたんですが、「ナイロンでもプレゼントにするようなものができるんじゃない?」という発想からデザインしたものがあります。
こちらのバッグは、表面の素材を変えて、ウォッシャブルなものをゴムにはったものです。メンズですね。
- 佐々木
丈夫そうですね。
- 廣田
ええ、強いですね。3年間ぐらい、毎日使っても大丈夫です。皮に比べて、へたりませんし、軽いです。
- 佐々木
これらは、どこで買うことができるんですか?
- 廣田
取り扱っている店舗数として多いのは、マルシャン・ド・レギュームというショップです。
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