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廣田尚子さん
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工場に通って試作品を作った!
- 佐々木
東京芸大を出られた後、GKテックという会社でデザイナーとしてお仕事をされたのが、初めのキャリアなんですよね。そこでは何をデザインされていたのでしょう?
- 廣田
プロダクトデザインです。たとえば、公衆トイレ、お鍋、自転車など、身のまわりにあるものなどいろいろです。
- 佐々木
初めての仕事ですし、楽しかったり、学ぶことがあったりだったと思いますが、そんな中で、94年の「国際バッグデザイン豊岡」のコンペに出してみようと思ったのはなぜ?
- 廣田
会社のコピー機の横にコンペ募集のポスターが貼ってあって、それを見てやってみようかな、と思ったんです。大量生産という意味では、プロダクトと同じなのですが。それまでは、扱う素材が硬いのもばっかりだったんですね。それで、柔らかいものをやってみたいという思いもあって。
- 佐々木
そうか。デザイナーにとっては素材の違いが、また新しい挑戦なんですね。
- 廣田
ええ。それで会社での仕事をしながら、自分でいろいろ考えました。コンペに出すために、試作品を作ろうと、何度も直接工場に足を運んで、「こういうものをつくりたいんです」と説明しながら、実地で(笑)。
- 佐々木
え? コンペってデザイン画で応募するのかと思ったら、デザイン画を描くだけでなく、実際に工場でつくってもらったんですか。それはかなり本気でコンペに挑戦している感じですが。どんなふうに?
- 廣田
そうですね。普通はデザイン画だけですが、わたしは絵ではわからないことも多いから、実際につくってみたかった。だから、まず自分で手づくりしたものを持ち込んで、素材だけはその工場の特別なものを使ってもらったんです。
- 佐々木
すごい。手づくりって、素材は?
- 廣田
皮です。いろいろ市販のものでつくってみて、それをその工場にある特別な素材でつくってもらったんです。
- 佐々木
じゃあ、費用もかかりましたよね……。
- 廣田
金額は覚えていませんが、かなり注ぎ込みました。安いお給料だったので、それで注ぎ込めるぐらいの額ですが(笑)。そうして試作品ができました。
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