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正宗エリザベスさん
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母は、オーストラリアの女子シングルスのチャンピオン
- 佐々木
小学校はどんな学校でしたか?
- 正宗
私達はそれほどお金がなかったから全部パブリックなんですけど、あのときは結構パブリックでも教育のレベルが高かったと思います。それにオーストラリアは、あの当時はプライベート大学はなかったですから。
- 佐々木
日本だと小さい子がよくピアノを習ったり、英会話を習いに行ったり、絵を習いに行ったり、スイミングを習いに行ったりとかしますけど、オーストラリアでは習い事はしましたか?
- 正宗
私は一時的にピアノをやっていたんですけど、テニスもすごく好きだったんです。実は、母はすごいスポーツ選手だったんですよ。オーストラリアの女子シングルスのチャンピオンでもありました。ですから結婚した当時、私が生まれる前は、彼女は半分プロで、いつもサーキットを回っていて、スポンサーもついていたぐらいですよ。
- 佐々木
テニスプレーヤーなんですか。じゃあ、普通の主婦じゃないじゃないですか。
- 正宗
そうですね。なのに彼女は「私は『テニス母』にはならない」と言って、子どもが「やりたい」って言い出すまでは一切テニスをやらなかったんです。
- 佐々木
でもお母さんが昔テニスプレーヤーだったということは、写真が置いてあったりして、子供としては分かっているってことですね。
- 正宗
でも、子どもが他のスポーツをやりたいと言うんだったら、どうぞ、と。で、結局9〜10歳とかになって初めて一緒にテニスをするようになったんですけど、そうしたら厳しくて。弟と2人、コートに連れていって、ちょっと球打ちをして、10分たったところで、弟に「あなたは大丈夫。いける」と。で、「ちょっと申し訳ないけれども、あなたはダメ」って私に。
- 佐々木
本当ですか。「素質がない」と?
- 正宗
「素質がない」と言われた。でも「素質はないけれども、あなたは一生懸命に練習すれば普通のソーシャルマッチはできるようになりますよ」って。で、その後からずっと教え続けたんです。
- 佐々木
じゃあ、弟さんは本当にうまくなったんですか?
- 正宗
もう、あの人は、やっぱり才能があるから。
- 佐々木
そうやってきちんと「あなたには素質がある」とか「ない」とか、はっきり言って、でも訓練を続けるお母様と、それから「夢を持って、人前にどんどん出て行きなさい」と言うお父様と、という家庭で育ったということは、やっぱり、新しいものに挑戦しようという空気が家族の中にあったということなんでしょうね。
- 正宗
あったんですよ。私は外国の文化にすごく興味を持ち、「もうちょっと大きくなったら海外旅行をしたい」とか、やっぱり一番身近な日本に惹かれて。
で、両親が偉いなと思うのは、寂しいけれども、本当の箱入り娘だったんですけれども、もうどんどん出してくれたんです。「寂しいけれども、あなたのためになるから」って。私、大学を出てからもう二十何年経ちますけれども、ずっとオーストラリアに住んでいないんですよ、その間。だから、すごく自分を犠牲にして、子どものためにって思って、我慢してくれているんですね。
- 佐々木
今のエリザベスさんの様子を見て、お母様はやっぱりとても嬉しく誇らしく思っていらっしゃるでしょうね。
- 正宗
そうですね。一番最初は、「いつ帰ってくるの?」といつも聞いてましたが、結婚したら、諦めたみたいです。
10/18
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