ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第135回 リシャール・コラスさん

135 |
リシャール・コラスさん
|
|
|
まさかそこで自分の運命に会うとは思わなかった
- 佐々木
少しコラス社長ご自身のこともお聞きしたいんですが、この対談を読んでいる方は、コラス社長のこの流暢な日本語を聞いたら驚かれると思うんですが。日本を選ばれたのはなぜですか。
- コラス
わあ、それを話すには明日までかかりますね。
- 佐々木
話すことがいっぱいですね。
- コラス
僕の書いた『遥かなる航跡』を読んでいただければ、何で日本に来たのかということが書いてあるんですが。ブラジルに行けなかったからです。最初から日本に深い思いがあったわけではない。
- 佐々木
偶然、お父様からの提案でしたね。
- コラス
はい、ただし、1つ、異文化には興味があった。なぜかと言うと、我々は純粋なフランス人の家族でありながら、父も母も異文化に興味があり、それを吸収することで、もっともっと大きくなるというような考え方をしていたんですね。
理念とか戦略とか哲学ではなかったけれども、人間として他の人間が持っている違う文化を吸収して、興味を持つというようなことが、自然に我が家族にはあった。
たまたま父はエールフランスからモロッコ航空会社に移った。パリからモロッコに引っ越して、2年いる予定が、10年いた。その10年間で、あの素晴らしいモロッコの文化を吸収して、すごく広がったんです。
12〜13世紀の間に、モロッコからたくさんの哲学者、心理学者、数学者が生まれたんですね。私はそのモロッコのど真ん中にいたんです。だから父が「日本に行ったら?」って言ったときは、正直なところ「ニコンを買いに行こう」と考えたんですけど、それ以上に「違う文化を見よう」という気持ちでした。
- 佐々木
それでね、日本にいらっしゃったら、何となく一般的には東京を見て、京都を見てという感じなんですが、瀬戸内海の方に行かれていますね。これも興味深い。
- コラス
それはロードムービーみたいだったからね。私はフランスにいるときから「瀬戸田というところに行く!」と決めていたわけではなかったし、第一瀬戸田なんて知らなかったし。飛行機の中で会ったスチュワーデスが「神戸に行ったら?」って言ったので、「ああ、広島には行こうと思ってたから、神戸は広島と東京の間だから便利だな」って思ってバスに乗ったら、バスの中で若い男性に会って、「僕は瀬戸田にいるから、うちに来たら?」って言うので、日本の家屋の中に入ってみたくて、非常に純粋な気持ちで「いいよ」って。
それで瀬戸田に行って、大きな出来事があったんだけど、まさかそこで自分の運命に会うとは思わなかった。まさかそれによって自分の人生を日本に注ぐことになるとは飛行機に乗る瞬間には全く思っていなかったし。
だから私は運命というのは非常に面白いなと思う。小さなことで全部の人生が決まるというのは不思議なものだなと。
- 佐々木
でもそれを受け入れるっていう気持ちがあったときにしかこないですよね。
- コラス
もちろん。それが先ほど申し上げたような、家庭の教育というか、自然に私の家族はそうだった。
11/18
|
 |
|
|