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ビジネス コンサルタント、レキシコン アソシエーツ 代表、カクタス・ジャパン顧問
ニヤンタ・デシュパンデさん
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歴史の中の人物に対する憧れを早期から持ってもらうため
- ニヤンタ
その一番効率のいいモデルとして使われているのは、歴史上の人物なんですよ。歴史の中の人物に対する憧れを早期から持ってもらうためのモデルを提供するというのを、1つのやり方として、ずっとやってきています。
それは、学校の教育もそうだし、家庭の教育もそうなんです。歴史上の人物に対する憧れを早期から持ってもらうことによって、自分のそういうモデルがいれば、自分で判断できるようになると思っているんです。インドには、マハトマ・ガンジーだけじゃなくて、長い歴史の中で国民的な英雄、ヒーローがやたらと沢山いるんですよ。だから私は、そういうのがうまく教育の中に盛り込まれているので、それがたぶん一番効率がいいのではないかと私は勝手に思っていますけれどもね。
- 佐々木
競争についても、「子どもは皆、競争したがるし、競争させるのはとてもいい」ということも書かれていると思うんですけれども、競争という概念、競い合って、より学びを深くしようとすることは、インドの教育の中で今、大切なことの1つなんですか?
- ニヤンタ
それはインドの教育でも、日本の教育でも、同じなんですよ。トレンドというのは、どこの社会でもいろんな現象が起きますし、ファッションによって一時的にいろんなことが変わってくることがありますね。日本でも一時期、教育に、いわゆる「ゆとり」というキーワードがだいぶ流行って、今また見直そう、なんて話も聞きますし。
- 佐々木
はい。見直して、新しい学習指導要領が発表されました。
- ニヤンタ
あるでしょう? インドも、トレンドとか、そういうのに弱いところがあって、変わることがあるんです。しかし、クラシックなモデルとして、教育の定義として変えられないものが1つあるんです。それは、教育は何のためにするかということです。人間として、人材として、いろんな意味で鍛えるためにやるんですよね。教育は、甘えるためにはやらないわけなんですよ。そうじゃなかったら、教育しなくたっていいんです。
- 佐々木
休むよりも学ぶことを覚えさせる。
- ニヤンタ
そう。だから、学ぶこと、学習することだと思います。それはスキルでしょ?だから、人によって、才能によって、どのスキルをもっと磨いてあげるか、というのは別々なんですけれども、その努力を絶やすことはできないと思います。競争というのは1つの手段かもしれないですけれども、努力が大事だということ。endeavorですね。努力しなかったら、何もできない世の中じゃないですか。その準備をするのが子どものときであって。だから勉強というのは努力ですよね。それがなかったら、教育としては成り立たないんです。
でも、それは競争する、しない、ということではなくて、やっぱりスタートラインとして、皆、同じところに立たせる必要がありますね。機会はイコールじゃないといけません。公平に、誰もが教育を受けられるという機会を与える必要があるんです。けれどもオリンピックと同じように、結局その努力によって、あとは才能によって、結果が違います。全員が金メダルは獲れませんからね。
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