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ニフティ株式会社 元・代表取締役社長 現・特別顧問
渡辺武経さん
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“Go for broke”の精神あるのみ
渡辺
結局、ドクター・セオ(徐)といういい先生が見つかりましてね。日本語もある程度しゃべれて、もちろん英語もできる。それから運が開けていった。毎晩、徹夜したりしてそれは大変でしたけど、生徒のみなさんが来るころにはカリキュラムができた。
佐々木
それは本当にすばらしいことだと思いますが、ちょっと気になることがあります。カリキュラムがない時点から、生徒を集めていたわけですよね。募集のためのパンフレットをつくるにしても、何をうたい文句にされていたのでしょうか?
渡辺
コンピューターサイエンスとか、マネジメントサイエンスとか、いろいろ勝手なことが書いてある(笑)。だから、その内容にだいたい合うカリキュラムをつくらなくちゃいけないでしょう。もちろん、「だいたい」じゃいけないんだけど(笑)。
佐々木
その生徒確保の営業力は、逆に言えばすごいものがありますね。
渡辺
当時は図々しかったんですよ。富士通が、というか日本全体が。今の中国みたいにガーッと燃えていた。本当にいい時期でしたね。今、32歳の何もわからない人をハワイに一人で出して、「7カ月で学校をつくれ」なんて言い出す人はいませんよね。
佐々木
確かに。で、とにかく、なんとかカリキュラムができた。結局、土地や認可もすべてクリア?
渡辺
不動産屋に行って、ずいぶん悩みましたよね。教育局に認可をもらうのも非常に大変なことで。この学校は基本的にNPO(Non Profit Organization)ですが、「衣の下に鎧というんじゃないんだろうな」と何度も言われましたよ。
ところが当時の社長は、学校の前にポールを立てて、日本、ハワイ、富士通と3つの旗をはためかせろと。教育局は絶対にそんなことは許さないわけですよ。だけど社長は「やれ」と言う。
それならもう引き上げるしかない、ということで、ついに旗を降ろして、本当に緑濃い教育環境にしようと、やっとそこにたどり着いたんですね。ハワイでは、学校の敷地での樹の植え方まで指示されるくらいですから。何年後にこれくらい大きくなると、校舎が見えなくなるとか。
佐々木
そこまで規制があるんですか。
渡辺
だから街がきれいなんですけどね。でも、その建物ができるまでに1年半ぐらいかかりますから、その間使える校舎を探さなきゃならない。これもいろいろ大変でしたけど、「なせばなる」と思いましたね。
佐々木
今でもその学校はあるんですか?
渡辺
ちゃんと続いていますよ。JAIMS (Japan America Institute of Management Science)といって、今はハワイ大学のMBA(Master of Business Administration)を出せる学校になっていますから。昨年の7月に30周年記念のセレモニーがあったんですが、わたしはファウンダーということで呼ばれて行きました。そこでスピーチをしろと言うので、その学校をつくるまでの話をしましたよ。
“Go for broke(当たって砕けろ)”という二世部隊の合い言葉がありますが、わたしにはその精神しかなかった。その精神で頑張ったことによって、今日がある。それから、ハワイ大学やいろいろな方々のサポート、そして今まで引き継いでやられてきた方々に感謝します、というようなことを述べて乾杯しましたけどね。
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