ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第129回 伊勢崎賢治さん

129 |
伊勢崎賢治さん
|
|
|
国益と世界益は両立できると思うんですよね
- 伊勢崎
そうですね。だから僕は、どういうふうにそれを発言したらいいのか、いつも考えるのです。たぶん国益っていうことをもっと柔軟に考えたらいいと思うんです。「国際貢献」っていう言葉があるでしょ。あるいは「世界益」。国連に対する貢献も入れ手「世界益」と呼ぶとしたら、それって、日本では「国益」と対立概念なわけですね。そうじゃなくて、僕は、国益と世界益は両立できると思うんですよね。でも、「国益」対「世界益」の割合って、5対5ではないと思うんです。日本人に限らず、アメリカ人だって誰だって国益が大切なのはあたりまえです。国益があって初めて世界益ですからね。
- 佐々木
そうですね。でもアメリカって、国益が重要で、それを追及することが世界への道だと国民に浸透している感じがするんですよね。でも日本は「国益」って言った瞬間に、愛国主義みたいになっちゃって、とても危険な発想に聞こえたり、あるいは古臭いことだという。アイデンティティをなくす方が国際的だとか、今風だっていう考えもあるほどで。
- 伊勢崎
だから、繰り返しますけど、やっぱり対立概念として捉えているのは我々日本人だけ。だけど、5対5までは望んでいないんですよ。僕はたぶん9対1ぐらい、つまり9が国益で1が世界益ですね。でも、もう少し頑張ってほしいかなって、8対2ぐらいが一番良いバランスじゃないかと思うんです。でも10対0じゃいけない。でも今日本の場合、ほとんどそうでしょ。だって、世界益を公約にして選挙に立つ政治家なんて日本にはいないわけですから。
- 佐々木
本当にそうですね。
- 伊勢崎
全くいないでしょ? だから世界益の部分を10にしろとは言っていないけど、少なくとも2ぐらいにはしてほしいという、バランスの問題なんですよね。で、こういう認識があると、たぶん変わるでしょう。だからやっぱりメディアでしょうね。日本を変えるには、まずメディアが変わらないとダメでしょう。
- 佐々木
望みのあるメディアがありますか?
- 伊勢崎
ありません。大手のメディアは、とにかくもうダメですね。メディアがリスクをとる、つまり無謀ではなくリスクをとることなんですけど、ありません。リスクをとるということ、リスクに対して補償することです。これがありません。
- 佐々木
それは各地に取材に出かけていくっていうことですか?
- 伊勢崎
そうです。
8/30
|
 |

|
|