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伊勢崎賢治さん
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日本は、平和外交をやる意味で、潜在能力はピカイチにあるんですけど
- 伊勢崎
これは本当に誇張でも何でもなくて、僕は見ましたから、アフガンで。日本の在外公館は、現地の新聞の切り抜き記事以上のことは、やっていないんですよね。受動的。いわゆる能動的な情報収集っていうのは、やっていないんです。それをやれる人材も、そういう人材を育成する教育もやってませんし。本当にそうなんですよね。
戦後60年、何もやってこなかったでしょう。これを、ゼロから、人づくりをゼロからやらなければならない。外務省の人材育成の体制の再構築から考えなきゃいけなくて。在外で、その国の文化・慣習、政治状況に精通し、その民族に本当に敬意と愛を持って働いている人たちは少数ながらおりますが、ほとんどノンキャリですから、外務省の中でなかなか発言力がない。こういう人たちにより大きな権限委譲がなされるような組織文化もつくらなければならない。これらはたぶん十数年では、できませんよね。
そうすると、非常にお先が真っ暗なんです。だから日本は、平和外交をやる意味で、潜在能力はピカイチにあるんですけど、現状は実行能力がゼロなんですよね。
- 佐々木
「日本の役割はここにある」と思っていましたけれども、うかがっているうちにガラガラと期待が崩れていきます。
- 伊勢崎
本当に能力がないんですよ。発展途上国以下です。
- 佐々木
何でそんな国になっているんでしょう。
- 伊勢崎
だから、ずっと一国平和主義でいいと思っていたんでしょう。
- 佐々木
それは、私たち一人ひとりで考えると、たとえば国内に住んでいる日本人が、外を見ていない、つまりどれだけ日本が平和かということにさえ気がつかないぐらい、国内に滞留しちゃっているっていうこともあるんでしょうか。何が貢献かさえ分からない。
- 伊勢崎
アフガニスタンで伊藤和也さんが亡くなりましたよね。ああいう事件があると、アフガンがまた身近になってくるわけです。日本人が犠牲にならないと、日本人は興味を示さない。
- 佐々木
意識の隅に入ってこない。
- 伊勢崎
それは、残念ながら日本の現実なんですね。
- 佐々木
だから結局、北朝鮮は近いけど中東問題は遠いっていうのが、ずっと同じだということですね。
7/30
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