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出井伸之さん
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大企業か中堅企業が、コーポレートエンジェルになる
- 佐々木
銀行や投資家にも問題がある。例えば、出井さんという個人が投資しようと思ったときは、出井さんの知見や経験からこの経営者は信頼できるとか、伸びるとかの判断で投資が決まります。しかし金融機関が企業としてお金を出すときは、データを見る。せっかく機械でなく、担当者が経営者と会っても、その営業担当の体験や判断は軽視されて、決算書のみ。
- 出井
それはね、銀行の数が減ったことと、ベンチャーキャピタルにしても、お金を出す相手が200社とか300社とかとてつもない数でしょ。だから人として見られないんだよね。今の日本のベンチャーキャピタルって銀行の出先が多いわけでしょ、関連会社が。そうすると親が貸し付けたお金を何とか回収するために動いているように見えてしまう。基本的にベンチャーで一番重要なのは、やっている経営者にどれだけガッツと情熱があるかどうかで、数字の問題じゃないと思うんだよね。でも数字がみんなすごく好きになっちゃう。
- 佐々木
今の日本経済を活性化させるために何か決算書以外に、あるいはそれにプラスする企業の評価システムっていうのはできないんでしょうか。
- 出井
それはなかなか難しい。数字が好きだからね。ただアメリカの場合だと、リスクを取ってお金をもうけた人には、ちゃんとお金が入るから、それを社会に還元させようと思って、企業を売って、もう一遍事業を始めるとか、そういうのがあるでしょ。日本は一遍つくったら俺の物だって思うから、会社も絶対に売らないとかになっちゃう。だからいわゆる社会的な成功者で起業家を育てるエンジェルになっている人が少ないわけだよね。
そういうような社会なので、僕は大企業か中堅企業が、コーポレートエンジェルになることが重要なんだと思うんですね。僕がソニーのCEOじゃなかったら、マネックスに金を出す人はいなかったわけだから。そういうふうに、やっぱりこの起業家、ビジネスがいいと思って、踏み台になっていいよ、というように手を差し出すのが重要だと思う。せめて日本は、個人にお金がないんだから、コーポレートエンジェルみたいに、自分が社長のときに少なくとも3社から5社は。
- 佐々木
お金を還元するということですね。
- 出井
それをすべきだと。だからその運動を僕らも少しはしたいと思っているんです。それをしないと絶対に金は回らないよ。
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