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出井伸之さん
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日本は、トップになる人の歳が高すぎる。
- 佐々木
それはCEOの報酬ですか?
- 出井
うん、いわゆる、リスクテイクした人がもうちょっと報酬があるようにしないと、日本だけじゃなくて、中国でも使えないよ。日本が、成長期に、安定したいわゆる所得再分配をしてきて、みんなが平等にお金を持っているみたいにした日本的なシステムが再び問われているんだよね。会社っていっても、日本という国の因習だとか、歴史の中にいるわけだからね、そこからなかなか逃れられない。その苦しみをみんな味わっているんじゃない。
- 佐々木
経営者の給料は、世界的にも手も日本はあまりにも低い数字が出ていて、そうすると、リスクを負う人も少なくなるし、夢見る人や頑張る人もいないしという、よほどのモチベーションがないと、といことですか。
- 出井
そうだよ。それからね、日本の経営は、トップになる人の歳が高すぎる。最低、50の前半とか40代でトップを任せた方がいいですよ。
- 佐々木
韓国などは、経済界のトップに40代50代が多くなりましたよね。驚きました。今までアスペンを含めて、アメリカのいろいろな会議には出ていましたし、ヨーロッパにもいくつか出ていましたけど、去年、韓国で初めて開かれた女性会議で講演するため韓国に行ったんですね。そうしたら、経済界のトップは若いし、女性活用への意識も高くて、その急激な変化に驚いたんです。
私は、日本でももっと女性の活用が進んだら、と思うんですね。私は、「国際女性ビジネス会議」という会議を毎年夏に開いているんです。10時間のビジネス会議で、毎年、千人以上の女性たちが全国から参加します。
- 出井
すごいね。どこでやっているの?
- 佐々木
お台場です。今年13回目が終わりましたが、毎年千人以上の方々がいらっしゃって、朝の10時から夜の8時まで10時間。日本は私が見ている限り、一般の女性たちの意識も高まり、知識も高まり、非常に積極的です。
韓国は大手企業の経営陣が40代、50代に若返っていて、ほとんどがイェールやスタンフォードの卒業生でアメリカとつながっている。韓国は、その女性会議を主要テレビ局が1時間、生放送しちゃったりしたんですね。日本のテレビ局で、私たちの会議を1時間放送してくれるところなんて、まだないです。経済界のリーダーが進んでいるとね、もしかすると、あっという間に韓国は変わるだろうなと私はちょっと思って。
ちなみにこの国際会議はエピソードがあって、13年前に私がこの会議をやろうとしたときには、経済団体から、会議を開催するなと言われたんですね。「どうせこういう会議に集まる女性たちは、日本経済の主流からの落ちこぼれですから、主流の企業がスポンサーになるわけもありませんし」と。でも、蓋を開けてみると、この会議は毎年、参加者は増え、参加者満足度も98%以上。でも、今日現在も経済界はたぶん知らないんですよね。
- 出井
でもイー・ウーマンは有名じゃない。
- 佐々木
そうでしょうか。ありがとうございます。つまり、私たちは経済価値など新しい価値観を創出したいと思っているんですが、何で日本の経済界が若返らないのかなと。日本の仕組みや経済界の不可思議は出井さんのような方に動いていただかないと変わらないかなと。
- 出井
韓国はいいところから見れば、そうかもしれないけれど韓国のマクロエコノミーから見ればね、結局、アメリカ的な大量消費社会をつくろうと思って、それに失敗しちゃったから、多重負債者がたくさんいる。あそこも基本的に産業構造を変えるのに、97年の国際通貨基金(IMF)の危機が起こるまで動きは起きなかったわけだよね。97年のアジア経済危機が起こって、今、大統領がビッグディールって言って、「この会社は自動車はやめなさい、この会社は半導体をやりなさい」って言って、命令でやったわけだよね。それって結果的にはうまくいっているんだけど。でも健全にね、流通産業やサービス産業が育っているかというと、僕はあまりそうは思わないね。韓国ではITとかコンテンツとか、著作権の概念が薄いというのもある。
今韓国では、たくさんベンチャーみたいなのが出てきて、しかも日本の昔でいう三菱とかの財閥の時代がちょうど終わりかけているところだから急にマネジメントが若返っているわけだよね。女性の進出が日本よりも多いのは興味深いけど。
でも大企業の数が日本より極端に少ないんですよね。だってサムスン1社でGDPの20%だからね。想像がつかない規模だよね。トヨタだって日本全体から見れば、一桁の下の方でしょ。そういう国はなかなか比較にならないんだけど。
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