ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第115回 藤村良典さん

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藤村良典さん
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3大テノールは3回とも、全部呼びました
- 佐々木
3大テノールの話をしていいですか? 藤村さんが、3大テノールを最初に呼んだんですよね。
- 藤村
最初だけじゃなくて、 3大テノールは3回とも、全部呼びましたよ。すごかったよね。国立競技場に、6万3000人だよ。梅雨時のコンサートだったからさ、10年前の気象データも取り寄せてチェックしてね。前日は雨だったから心配したけど、コンサート当日はそよ風が吹いて、すばらしい天候だった。
- 佐々木
私は、楽屋で通訳をさせていただいたのを覚えています。最初のときですよね?
- 藤村
もう、いろいろご迷惑をかけて、すみませんでした。いろいろありましたけど、楽しかったですよね。
- 佐々木
あのときは、藤村さんが、自分の人生の中の大きなイベントだし、きっと何か起きるから、そのときに、知らない通訳なんかじゃ、上手く行きそうにないからって。通訳に気をつかってることできそうにないから、かをり来てくれって。
- 藤村
かをりを頼んだんだよな。ホフマンって、いただろう? ドイツ人のあいつ、脱税で何年か刑務所に入ってたの。
- 佐々木
あの後ですか?
- 藤村
知らなかったの?
- 佐々木
知らないです。藤村さんが、「絶対、何かトラブルあるから」って言っていた通り、開演2〜3時間前にありましたよね。それで、藤村さんとホフマン氏が、交渉のために別室に移動。あまりの荒れように、通訳の私が彼をなだめようとして、体に触れたりなんかして。
- 藤村
「何やってるんだ? かをり、何で触るんだ?」みたいな、ね。
- 佐々木
すごく怒られて、怒鳴られたけど、でも、あれで落ち着きましたよね。でも私、あのときに、ああいう危機に直面したときの藤村さんの交渉術を目の当たりにして、「やっぱり藤村さんって立派な方だな」って、深く尊敬したんです。
- 藤村
でも、かをりがいなかったら大変だったよ。あのコンサートも、あいつがイニシアティブをもってたんだから。やるの、やらないの……。ただ、やらないってことは絶対にあり得ないと俺は思ってたからね。もう、金を払ってるんだし。
- 佐々木
でも、やらないって言ってましたよね。2時間前に。
- 藤村
そう。もう、絶対やらせない、みたいなことを言いだしたからさ。
- 佐々木
私は、なだめようとして彼に触ったんです。
- 藤村
(笑)おかしかった。
- 佐々木
あまり興奮しているので、落ち着かせようと思って、彼の背中をさすったりして。ただの通訳なのに。そうしたら、すごく怒ってね。でも、コンサートは、ちゃんとできたものね。良かったですね。
- 藤村
俺はさ、汗かきかき、頭は真っ白でパニックでさ。だから、ほんとうに、かをりで助かったんだよ。じゃなきゃ、できなかったよ。通訳って、そういう部分があるじゃない。伝わっているかどうか信用しなくちゃできないし、仕事に対しての愛情と責任があるかどうかもさ。
- 佐々木
藤村さんのお仕事の中で、3大テノールのように、「これは勝負」と思われたのは、ほかにどんなものがありますか。
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