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浜田宏さん
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社員も経営者もグローバル化されていない
- 浜田
メーカーの方が簡単で、グローバル化できているんですよ。それこそ、トヨタ、日産、パナソニック、ソニー。なぜかと言うと、製品が目の前にあるじゃないですか。それって国境とか文化を超えて、「ああ、いい車だな」「いいステレオだな」と分かるんですよね。だからメーカーは、比較的に、経営は日本的であっても、製品として世界を飛び抜けていく。
サービス業の場合、僕が知る限りですよ、本当にグローバル化されているのは、ほとんどなくて。例えば公文塾ぐらいなものだと聞きました。これは僕はよく知らないんですけど。
- 佐々木
偶然ですが、先日、サービス業がなぜグローバル化しないのかをある省が研究しているってききました。たとえば、何で寿司屋はグローバル化しないのか。ハンバーガーチェーンは世界にあるのにって。
- 浜田
あのね、僕から言わせると。サービス業というのは、物そのもので語れないじゃないですか。どこかで人と人とが接点を持つとか、形に見えないものが重要なんです。例えば小売りのやり方だとかカルチャーといったものは、経営者自身のカルチャーと密接に結びついている、人ベース。日本のサービスは、社員も経営者もグローバル化されていないから、人と密接なサービスそのものがグローバル化できないんですよね。
製品だったら、例えばの話ですよ。どこかの山奥の、本当に人里離れたところで、こんなところでやっているのっていうようなところに工場を建てて、英語も話さない、ひたすら、いい製品をつくって。商社に頼んで輸出して、「これはすごい」って世界の人に思われたら、本社の経営学だとか、社員がグローバル化されているとかに関係なく、売れていくんですよ。
でもサービスは違うじゃないですか。社長も社員もグローバル化されていて、台湾だ、スペインだ、ブラジルに行って、その会社のサービスの哲学とか、サービスのやり方とかを説いて、理解してもらって、初めて、みんな日本と一緒のサービスを提供することができる。そこで年功序列、男女差別、これが日本的なやり方だ、コミュニケーションの方法だって、そんなのをやっていたら、スペインだ、ブラジルだ、イタリアの人たちは理解してくれない。働きたくない、そんな会社で。いい人が集まらないし、すぐに辞める。
社長は日本人を送り込む。英語もできない人で、2、3年ごとに変わっていく。……これは、例えば、の例ですよ。でも、そんな会社で働きたくないでしょう? 僕は働きたくない。そういうことをやっているから、グローバル化できないんですよ。
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