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長坂将志さん
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料理の真髄みたいなものを追究することを学んだ
- 佐々木
レストランを経営するということと、料理を作るっていうことって、ちょっと違うと思うんだけれど。まず、実際自分で美味しいものを追究するようになったのは、いつ頃からですか。
- 長坂
やっぱり一番最初は、シェ・イノでしょうね。シェ・イノの井上さんに、料理の真髄みたいなものを追究することを学んだ。それと、親父が追究する姿勢から。そこのお店のキッチンが、やっぱり本当にプロフェッショナルで、本当に上のほうのランクだったと、ぼくはいまだに思うんですけれど、そういう空間ですから、あたりまえでしたよね。
やっぱり一つ一つの素材も含めて追究していくっていうような。どっちが一番美味しいんだ、っていうようなことばかりやってましたし。うるさい客が多いお店ですから、もう、毎日毎日が真剣勝負なんで、それは必然的にそうなっていきますよね。
アメリカでは、初めて行って、ある程度お店を任されるようになったときに、すごく料理のレベルが低いな、とぼくは思ったんです。これは、自分が追究するよりもまず、このお店のレベルを上げないといけないな、と。だから、あんまりアメリカで追究心というのはなかったんです。
日本に帰ってきてからですね、また、シェ・イノの感覚に戻れたというのは。それも、そうと言っても3、4年くらいですかね。後はもう、言ったように、表のほうが、やっぱりすごく重要。
前の会社はカジュアルなお店だったから、余計、料理と言うよりも、やっぱり空間作りというかスタッフ教育みたいなところが重要になってきたんで、そっちに走ってましたけれど。で、ここを立ち上げるときは大変でした。
- 佐々木
どんな点がですか?
- 長坂
もう、料理人の感覚がぶっ飛んでいるような、いわゆるレストランをやるという人間ではありましたけれど、一から皮をむいて何かを刻んで料理する、っていう感覚がちょっと吹っ飛んでたので、それをリセットするまでに2、3カ月はかかりましたね。なによりも、食材と出会わないことには、いいものって何も始まらないので、いろいろ、1年間の充電期間中には、いろいろなところに行ってきました。
- 佐々木
野菜を作っているところとか、鶏を育てているところとか。
- 長坂
そうですね。行きましたね。生産者と言う目線から、いろんなことを学ばせてもらいました。で、じゃあ、この店はどういう料理コンセプトで行くべきなのかというのは迷いに迷っていたんですけれど、やっぱり世界中からいろいろな人が来て、そういう人たちが日本に来たときにでも、連れてきて恥ずかしくないお店をぼくは作りたいなと思ったんです。
それでやっぱり、ベースにフランス料理というものがあったほうが分かりやすいのかなと思って。あんまりぼく自身はフランス料理だとは思っていないんですけれど。
流れが、どっちかと言ったらそういうスタイル、ということで、決まったんで、それに沿って食材選びですね。あとは、そういうエネルギーを出しつづけると、そういう人たちから情報がいろいろ増えてくるじゃないですか。ですからまだまだ、もっと食材も良くなっていくと思うんですね。
- 佐々木
マサさんに使って欲しいという食材ですね。この、ウィンウィン対談を読んだかたからも広がるといいですね(笑)。
- 長坂
いやあ、本当に嬉しいです。
- 佐々木
さっき「うちのスタイル」っておっしゃったんですが、このTANGAっていうお店のスタイルは、どういうものなんでしょうか。
17/27
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