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宮嶋泰子さん
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金メダリストが、難民キャンプで
- 佐々木
たとえば?
- 宮嶋
たとえば、「NPO法人バレーボール・モントリオール会」で行った、ネパールのダマクという所の難民キャンプの話なんですけど。
- 佐々木
根本さんのところですね。UNHCRの根本さんに、この前、このウィンウィン対談にご登場いただいたんです。
- 宮嶋
そう。根本さんが送ってきた写真が1枚、裸足でサッカーをしている女の子の写真があって。私達もNPOを作ったばかりだったので、「NPOで、靴でも集めて送ろうか?」って言ったら、「そんなNPOを作ったのなら、靴なんか送らないで、物じゃなくて、教えに来てよ」って。
それで、金メダリストに話したら、「面白いね」っていう事で、白井貴子さん、矢野廣美さん、そして金坂克子さんといった、オリンピック金メダリストが3日がかりで、その難民キャンプまで行ってくれて、難民キャンプで3日間レクチャーしたり、バレーボールの試合をして。
- 佐々木
それは、皆、喜んだでしょうね。
- 宮嶋
面白いんですよ。いろんな効果があってね。ネパールでは女の子が、あまりスポーツをするチャンスがないですからね。一般の人の感覚で「電気も水道もない、食べるのにも困っているような難民キャンプで、何がスポーツだ」って言う方がいらっしゃるんだけど、とんでもなくて。
難民キャンプっていうのは、食べ物も着る物も、本当は世界中からある程度送られてくるっていう現実があって、一番困っているのは精神的な部分なんですよね。籠の鳥状態になっている。ものすごいストレスがあって、暴力に走ったり、密造酒に走ったり、いろんなトラブルが発生しているんですね。そんな中でスポーツが持つ力っていうのは、計り知れないものがあるんですね。
難民キャンプの女の子が言うんですよ。「私達の所に、金メダルを獲った世界の頂点の人が来てくれた。余りもんじゃないんだ。世界のトップの人達が来てくれた」って。彼女達にはすごく感激だったみたいです。その2ヵ月後、私は、また難民キャンプに事後取材で行ったんですけど、写真を見ながら涙を流して、「私の人生で、こんな素晴らしい日々は初めてだった」って女の子達が言うんですよね。それが、すべてを語っているように思えましたね。
- 佐々木
それこそ、リスペクト、ということなんでしょうね、きっと。その人達に対して、その人たちが、今そこに生きていることへの敬意だったい、その人たちの存在意義に対して敬意を表してくれたっていう事に対しての感謝なんでしょうね。
- 宮嶋
それからもう一つ予期せぬ出来事があったんですよ。大体、難民キャンプとその周辺の村って、仲が悪いでしょう? 「また難民キャンプに物資が送られてくるのに、僕達の所には何もない。僕達は働かなきゃいけない。こんなに貧しいのに」ってよくキャンプ周辺の村人は文句を言いますよね。その仲が悪いはずの周辺の村人たちが、「最終日に大会をやりますよ」って言ったら、キャンプの中に入ってきたの。
16年間で初めて、キャンプの中に入ってきたんですよ。それでバレーボールチームを作って、一緒にバレーをしたの。初めての交流が、そこであって、私たちも予想外の展開に驚いちゃいました。「スポーツの力」とか「ピンポン外交」とか、これまでよく耳にはしていたけれど、これは、まさに、「バレーボール外交」。ものすごい力があるんだな、と思いました。
特に女の子たちにとっては、、バレーボールをした事で、今までは「自分たちはこんな事しかできない」と思っていた枷がはずれたんですね。
- 佐々木
思考もストレッチしたんですね。
- 宮嶋
「いろんな事ができるんだ」という可能性を知ったんでしょう。それこそ彼女たちの力を引き出すためのノックだったのかもしれないなっていう気がすごくするんですよね。
- 佐々木
それは、放送されるんですか。
- 宮嶋
そう、テレビ朝日で、2007年12月29日(16時55分から17時50分)ですね。
- 佐々木
じゃあ、放送日前にこの対談を読まれた方は、是非番組を見ていただきたいです。
17/24
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