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初めての一人暮らし
ewomanサーベイで「夫/恋人は自立した男だと思う」や「夫が裕福なら優雅な専業主婦になりたい」など、直接的、間接的に、「自立」について問いかけてきた松本さん。まずは、松本さん自身の自立の過程を伺った。
わたしは今年39歳になるので、高校卒業して親元を離れてから、ちょうど20年になります。進学のために家を離れるまで、何事も親任せで、洗濯も掃除もアイロンかけもしたことがなくて、ご飯も炊いたことがなかったんです。
お料理は好きだったんですけど、シュークリームを作ったり、ケーキを焼いたりとお菓子ばっかり。一人暮らしで毎日、甘いものを食べるわけにはいかないですよね。普通のご飯を作ることができなくて、暮らしに必要なことも何もできなかったんです。アルバイトもしたことがありませんでした。
ですから、いろいろ失敗もしました。たとえば大学に入って一人暮らしを始めた時、黒いTシャツと白いTシャツを一緒に洗濯機で洗って、黒いTシャツに白い綿くずがたくさんついたり、シャツの袖のアイロンかけが下手だったり、初めて作ったおかずが失敗したりして、最初の一年はすごくめげました。わたしは何もできないって……。仕送りも親からしてもらっていたので、親に偉そうな口をきいていたのに、自分がまったく自立していないことに愕然としたんです。
親元を離れてから20年間のうち、15年くらいは一人暮らしをしたんですけど、その歳月、とくに自立という言葉を意識していたわけではありませんが、自分の暮らしを一つずつ自分で形作っていく試行錯誤の時間だったと思います。
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