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伊藤元重さん
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外国人労働者は、育てる方向で
- 佐々木
外国の利用っていうのは、外国人労働者の入国について?
- 伊藤
そうですね。貿易もあるし、外国からの投資をもっと引き入れるとか、観光客ということもありますけど、たぶん、これから日本が一番真剣に考えなきゃいけないのは、やっぱり外国人労働者。
特に、イー・ウーマンで、これはぜひ議論してもらいたいと思うんですけど、僕は、たぶん、このまま行ったら、日本の医療、特に看護師さんとか介護の世界とか、もっといえば、いわゆるナニーっていうんですか……。
- 佐々木
ベビーシッターとかお手伝いさんとか。
- 伊藤
子どもをみたり、家事を手伝ったり、これはもう、絶対に足りないと思うんですよ。
- 佐々木
そうですね。今でも足りなくて困っています。
- 伊藤
そうですよね。これはもちろん、日本で人を育てるということも大事なんだけど、やっぱりもう、外から入れるということを考えなきゃいけないのかな、と。僕の友人が、この前、面白いことを言っていました。子どもが生まれたんだけれど、経営者でお金があるわけ。それで、奥さんには楽をしてもらおうと思って、いい家政婦さんを探そうと思ったら、月100万ですってね。
- 佐々木
そうなんです。私が、1人目を産んだ時に、保育園・幼稚園の事情がよく分からなかったので、やっぱりベビーシッターさんかなと思って、問い合わせたんです。朝の9時から夜の8時ぐらいまで毎日、月〜金曜日。「おいくらですか?」と聞いたら、「80万円です」って言われて。それなら、私がやるって(笑)。もちろん直接雇用すると下がりますが、それでも月に20万円。フィリピンの方をお願いしたくても、ビザのスポンサーになれないし。
- 伊藤
そうですよね。ベビーシッターだけじゃなくて、介護士とか看護師も含めて、真剣に考えなきゃいけないと思うんですよ。フィリピンにいる優秀な人を、お金で日本に引っ張ってこようと言っても無理。カナダに行っちゃうわけです。
だから、僕が、今、政府の方にお願いして、できないかなって言っているのは、せっかく日本はこれだけアジアに支援しているんだから、もう、太っ腹で、アジアのために、フィリピンでもベトナムでもいいんだけど、将来の介護士とか、すごくレベルの高いベビーシッターを育てるための教育機関を作って、ついでに日本語も勉強してくれ、と。
それで卒業後に、日本に来てくれれば一番なんですけれども。つまり、連れてくるのではなくて、育てようというところからやらないと、たぶんダメだと思うんです。
これから一番人が足りなくなるのは、そういう機械にできない仕事で、本当は日本人だけでやればいいんだけど、高齢化も進んでいますし、難しいので、ここは本当に、やっぱり、やっていかなきゃいけないと思っているんですけどね。アジア・ゲートウェイでそういうことができるといいんですけど、ちょうどまだ議論の途中で、これからどうなるかは分かりませんが。
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