ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第91回 Carol Bellamyさん
91
ワールド・ラーニング代表兼CEO、前ユニセフ事務局長
Carol Bellamyさん
過去の対談一覧
第141回〜
第121回〜第140回 第101回〜第120回 第81回〜第100回 第61回〜第80回 第41回〜第60回 第21回〜第40回 第1回〜第20回
アメリカの子どもたちの海外体験を増やしたい
佐々木
ベラミーさんが、具体的にはどんなふうに取り組まれているか、少し教えていただけますか。
ベラミー
現在の私の一番のターゲットは、アメリカの児童および若者の教育問題です。
現在、私が学長を務めているアメリカの大学院(School for International Training)で勉強している学生の約1/3が、なんと海外からの留学生なんです。日本人もたくさんいます。昨日の式典(皇居での勲章親授式)でも、通訳の一人がSchool for International Trainingの卒業生だと声を掛けてくれました。
それに比べて一般的にアメリカの児童や若者は、アメリカという巨大な国に生まれたばかりに、国際感覚を磨く経験をする機会が少ないと私は思っています。
佐々木
海外留学などの体験が少ないと。
ベラミー
ええ。ワールド・ラーニングの活動の内にはさまざまな国際交流プログラムがありますし、特に高校生向けには、海外の高校への短期留学制度を設けて、海外の高校で必要な単位を修得して帰ってくることを義務付けたりしています。
パリや、南アフリカや中国に行っても遊んではいけない、などと言っているのではありませんよ。ただきちんと勉強もしてくるように、というのがこのプログラムの目的です。
こういった制度はとても重要だと私は考えています。数年前に大学の新入生に「大学を卒業するまでに、外国に行くチャンスがあると思いますか?」と聞いたところ、48%が「行くチャンスがあると思う」と回答しました。でも現在の数字は、この時よりも2%下がってしまいました。
アメリカという国が余りに大きいために、この心地良い国を飛び出して、海外で経験を積もうと考える学生が少ないのです。これを変えることが、我々の仕事の目的の一つです。
佐々木
海外旅行や留学を進めていくためのキャンペーンやプログラムですね。
ベラミー
同時にまた私たちは、各国の新聞社の編集者や、市の職員、裁判官などを対象にした研修セミナーを、アメリカで開催しています。この間もブラジルやトルコの新聞社の記者と編集者が、この研修セミナーに参加しました。
グローバル社会を持続させ、発展させていくためには、このようにさまざまな国際交流の場やセミナーが必要だと思っています。もちろんこうした活動も、広い意味での教育の一環なんです。こうした文化交流を通じて、異文化に対する耐性と、寛容性を高めることができると、私は信じています。これこそが、グローバル化する社会で求められているものではないでしょうか。
佐々木
そうですね。知ること、体験すること、また知人が存在することで、平和な考え方もできるわけですし、そうして国際感覚をもつことは、グローバル社会のリーダーシップを取るであろうアメリカの若者には本当に必要なことなのですね。
もちろんです。でもこれは……
12 /23