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金平 敬之助さん
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18対3
- 金平
「18対3」という数字を、しょっちゅう僕は頭の中に入れています。学校の先生に講演するときにはとくにこの「18対3」を強調します。「18対3」の18って何かっていうと、ブラジルのワールドカップ出場回数ですよ。第1回から連続出場です。で、3は何かというと、日本の出場回数です。これが「18対3」の意味です。
では、なぜこの差が生まれたのか。それは褒め方の違いが大きな理由ではないか。私はそう思っているのです。ブラジルにサッカー留学した若い人に直接話しを聞いたことがあります。あるとき、左足でポンと蹴ったら、コーチが飛んできて、「おい、うまい蹴り方をしたな。ペレと同じ蹴り方をした」って褒めてくれた。「そんな大袈裟なこと、言わないでくださいよ」と言いたくなるぐらい褒めてくれるそうです。
本に書いたことがあるのですけれども、ある生命保険会社の人が浜松支社に転勤して、5年生の双子の男の子を連れて行ったわけですよ。私が、「いじめ、大丈夫ですか?」って聞いたら、「金平さん、うちの子は八王子でサッカーの名選手だった。浜松は土地柄サッカーが盛んでしょ? だから、たくさんクラブがある。そこに入れればいいと思ったんです。学校で何かあっても、別にそういう楽しみがあればと助かると思って……。ところが、この作戦はみごと失敗しました」って言うんです。
「どうしてですか?」って聞いたら、「いや、サッカーのレベルが違いました。補欠に入れられてしまいました。いままでスターだったのが、一転補欠でしょ? 二人ともがっくりしてしまいました。ところがですね、ものの一日か二日たつと、家に帰ったら、ものすごく楽しそうにサッカーの話をするのです。「あれ、おかしいな。何で? まだ補欠のはずなのに」こう首を傾げていたら、奥さんが「あなた、聞いて」って言うのです。
それを聞いて秘密は「ブラジル人のコーチ方法にあり」とわかったのです。保護者、父兄の人たちが練習風景を見に行く。補欠のチームのコーチはブラジル人。この若い青年がすごい。まあ、片言の日本語で、褒めるわ、褒めるわ、褒めるわ。子どもたちはうきうきして喜んで練習する。だから、レギュラー組でも補欠チームに入りたい、というのがいるくらいだそうです。
特に母親たちが喜んでいるそうです。そのくらいブラジルの人は、「どうかな?」と思うことでも褒めるらしいです。こんな育て方するから、18回行けるんでしょうね。
- 佐々木
明るく褒めると上手くなって18回行かれる。場数も増えて、結局さらにうまくなっていくんですね。
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