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金平 敬之助さん
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場と役割。そして拍手を送り続ける
- 佐々木
そうか。第11回国際女性ビジネス会議では、品格っていう話をしていただいたと思うんですけれども。
- 金平
あれは恥ずかしかったです。
- 佐々木
どうしてですか?
- 金平
だって恥ずかしいですよ。「1956年に、品格のある会社に入社しました」って言って、「で、1991年に品格のない会社を退職しました」と言ったんですよ。恥ずかしいじゃないですか。じゃあ、1956年と1991年の間に何が起きたのか。それは、極端に比較で人を動かすようになったからと、恥ずかしながら説明したのです。これは多くの会社の共通点かも知れませんが。比較で会社を動かしたから品格がなくなったのですね。
比較って、上が楽をするんですよ。あんな楽なことはないんですよ。「お前、前年に比べてどうだ」とか、「前任者に比べてどうか」と言っていればいいのですから。すごく簡単でしょ。その代わり、長い間、比較で人を動かしていると、必ず組織はおかしくなってきますよ。
- 佐々木
何で人を動かせばいいんでしょうね?
- 金平
それは、「場と役割」を与えてやればいいのですよ。人っていうのは、だれでも何かをしたいと思っているはずだから。
- 佐々木
そうですよね。
- 金平
そうでしょ? だから、そのことを信じたら、あとは「場と役割」を与えたらいいのですよ。ただし、拍手を送ってあげる必要はありますよ。
- 佐々木
どんなにうまくいかないときでも、拍手を送り続けるんですか?
- 金平
そうです。今、大学の講師をしていまして、インターネットによる授業で、学生がカナダにいたり、ソウルにいたり、愛媛にいたりするのです。地方でフラワーショップを3つぐらい経営している学生、といっても奥さんなのですが、その学生がうれしいメールをくれたんです。
「金平さんが、授業で、褒めなさい、褒めなさいって言うから、『あっ』と気がついたんです。自分のところでは毎月スタートの日にスタッフにプリントを配る。内容は『先月のダメな点』」(笑)。
- 佐々木
(笑)
- 金平
「それを変えたのです。金平さんのいうとおり褒めてみよう、ということで、『先月の良い点』のプリントを配るようにしました」という内容でした。さらに「おかげでガラッと職場が変わりました。こんなに劇的に変わったことはありませんでした」と書いてありました。これも本当の話ですよ。愛媛県の松山にいる学生の話です。だから、少々乱暴でも褒めたらいいんです。
- 佐々木
基本的に、まったくその通りだと思って褒めるんですが、近くにいる人たちは、どうしても互いにさまざまな点が見えてきて、注意もしたくなってしまうんですよね。
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