ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第85回 Clay Chandlerさん

85 |
Clay Chandlerさん
|
|
|
アメリカの新聞は、すべての記事が、記者の署名入りなんです
- チャンドラー
ワシントン・ポストだと、まず僕の名前が最初に出てきて、要は僕個人のブランドですよね。それから、情報も全部ソースがないとダメなんですね。で、読者はそれを見て、「あ、あいつだ。チャンドラーだから、いつもとんでもない話書いているんだから、それは別に信じないでいいんだ」っていうことか、「あ、これは唯一、クレイ・チャンドラーが書いていることだから、信用できるんだ」っていう区別ができるわけなんですよね。日本の新聞にはそれがまったくできないですよね。アカウンタビリティが全然無いですよね。
- 佐々木
全部の記事が署名入りですか?
- チャンドラー
全部、署名入りです。おもしろいんですが、以前、一時的に新聞の労働組合とマネージメントのやりとりがあったんですよ。ですから、ストライキをしようということになった。でも、ストライキも仕事に出ない、ということではなくて、自分の署名を出さないことにしよう、と。記事は書くんですが、誰の記事かっていうこと、自分の名前を載せない、ということをやっていたんですよ。僕はその当時、入社したばかりで、入ってprobationの……。
- 佐々木
試用期間ですね。
- チャンドラー
そう、試用期間だったわけですよ。だから、必死に僕は自分の記事を増やそうとしていたんですよ。「こんなに頑張っているんだ」という証明を積もうとしてたんですが、その中でストライキになったってね、僕はその時間帯の中で、かなりいい記事が出来上がってくることを知ってたわけなんです。けど、まだ労働組合に入ってなかったのですが、どうしよう、と。
組合の人に「お前、絶対に名前載せちゃだめだよ」と言われて、「それは同僚にとって、すごく失礼だ」ということも言われてね。僕はやっぱりね、個人だからね。頑張らないと、組合に入る話まで出てこないんですよね。
ですから、敢えて自分の名前を載せたんですよ。すっごいひんしゅく買っちゃった(笑)。でも、やっぱり、その翌日の新聞を開けてね。すっごい日本的な新聞なんですよ。署名、全然載ってなくて、ただ、僕の署名だけがね……。記事の中に、お前、誰って。すごい目立って(笑)。
- 佐々木
それは最終的には良かったのね。
- チャンドラー
最終的にはまあ一応、何とかなったんですけれども。まあ、それだけ違うんですよ。要するに、新聞を罰するため、自分の名前を載せないほど。自分の名前を載せないのが、罰として考えられるほど、それだけ大事なことで、新聞の唯一の付加価値として求められているんですよ、アメリカでは。
10/32
|
 |
|
|