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モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長
西岡 郁夫さん
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“nice to have”じゃない“must” の技術
佐々木
かなり選んで投資されていらっしゃいますよね。今まで何社ぐらいですか?
西岡
はい。16社で、投資総額は23億円ぐらいです。
佐々木
65億ぐらいまで出資しようと思っていらっしゃるのでしたっけ?
西岡
ええ。でも、ベンチャーキャピタルを始めて半年間は全然出資に値するベンチャーが見付かりませんでした。“nice to have”の技術はたくさんありますが、“must”の技術はなかなかないものです。
ベンチャーはIPO(Initial Public Offering)を目指しているのであれば、IPOで得た資金を有効に再投資して一気に戦略強化をして業績を更に上げ、時価総額を上げて、信じて株を買ってくれた個人投資家に恩返しをする覚悟がなくてはいけません。
日本のベンチャーはしばらく、IPOをしたらもうおしまい、IPOが企業の最終目標という考え方をとってたと思うんだけど、それは間違ってると思うね。IPOのあと悪業績で時価総額を下げては個人投資家を裏切ることになり、そんなことが続くとベンチャーの株式市場そのものが成立しなくなります。ベンチャーの社長だけが大金持ちになって浮かれていてはダメなのです。
そういう意味で、当社はベンチャーの評価を非常に厳しくチェックしながらやっています。
佐々木
出資会社の中で頑張っているのはどこですか。
西岡
NAVITIME。i-モード、au、 J-phoneのすべてに公認サイトを提供している「地図情報システムのベンチャー」です。日本で地図情報サービスを提供しているサイトはほとんど NAVITIMEのライセンスを受けていますし、中国のチャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコムもNAVITIME採用を決定しているくらいの優秀なベンチャーです。
イーブックイニシアティブジャパン(http://www.10daysbook.com/)はネットでマンガを読ませてくれるベンチャーですが、このベンチャーの技術を活用して松下電器が見開きの2枚の液晶を用いた「読書専用端末」を開発し、発売することを発表しました。
佐々木
前に見せていただきましたね。
西岡
ちょうど「ベテランの会」に佐々木さんに来ていただいた時、一緒に来てたと思うんですよ。
『週刊ポスト』の編集長だった鈴木社長が頑張っています。松下が開発した液晶は本を読んでいるときは電気を消費せず、電気を消費するのはページを送る時にだけという優れた特性があるため、単三の電池2本で普通の人なら半年間電池を変えずに読書できるという優れものです。白黒版で。
佐々木
楽しみですね。
西岡
次はJCD(Japan China Development)でしょう。北京の精華大学を卒業後、名古屋大学で博士号を取った徐社長が日本に帰化し、システムハウスとして堅実な事業を続けてきました。その徐さんが日本の携帯電話の成功事例を中国に輸出したいという夢を引っ下げて僕のところに来ました。今ではチャイナ・モバイルとチャイナ・ユニコムの最大のISPに育っています。これからの活躍が見ものですよ。
われわれの仕事はこういう優秀なベンチャーを大企業に連れて行って商売が成り立つように仲を取り持つことです。こういうときにインテル時代に築いた人脈が最大限に働いてくれます。ありがたいことです。
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