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陰山 英男さん
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なぜ子どもたちが考えることができなくなったのか。その分析を間違えた
- 陰山
要するに、子どもたちが自主的に考えることが大事だからということで、きちんと教えるということを放棄したわけですよ。その結果、子どもたちは校内暴力をするようになり、学校に不登校が増えて、そして学力が低下したんです。
- 佐々木
そもそも、きちんと考える子どもを育てようっていうことと、わからない子どもに教えることを放棄することとは、因果関係がないように思えるのですが……。
- 陰山
そう。だからそこの、なんで考えることができなくなったのかって分析を間違えた。たとえば、1981年から90年ごろにかけて校内暴力や不登校が増え始めた。だから、とりあえず子どもたちに対する受験圧力を避けたんですね。それはよかったんですよ。
で、それでよかったもんだから、もう一段、今度は自ら考え、自ら学ぶ形にしようという形でやったわけ。それは、やっちゃいけないことまでやったんです。
- 佐々木
教えることを放棄した?
- 陰山
放棄してしまった。さらに生活をきちっと管理することをやめた。
- 佐々木
う〜ん。自ら考える力を伸ばすというのは、大切なことだと思うけれど、お話伺っていると、やっぱり生活管理を放棄してしまってはダメですよね。プライバシーの侵害だということで、さっきお話に出たように、家庭訪問に行ってもドアから入らないで玄関口で話が終わってしまったり。
- 陰山
そう。それで個性尊重だとかきれいな言葉で言って、その結果、一生懸命、それこそ評価はかわらないけれども、子どもたちがちょっと成長するということを喜びにしてきた教師たちの意欲と芽を摘んだんですよね。
そこへもってきて、今度は教職員を給与で評価しようっていう話でしょ? そうすると今度、一番恐ろしいのはね、1万円、2万円、給料アップするために頑張る教師が出てくると、チ−ムワ−クが崩れる心配があります。
いい学校というところは、うちの職員でもいますが、まったく目立たないところで、校長が何言おうが、教育委員会が何言おうが、地道にがんばる教師がいます。彼らへ評価がたいへん難しい。そこを粗末にしていると、それこそ、まさしく学校の崩壊の危険性があります。
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