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川合アユムさん
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夜の世界から昼の世界へ
- 佐々木
おじさんとの仕事を辞めてからは?
- 川合
就職活動しようと。昼間の世界へ行きたいと思ってましたから。昔アマチュア無線をやってたころや、コンピュータやりかけてたころの、「ようほんまに、こんなもん作り出すなあ」という感動がよみがえってきました。
テレビとかを、ことごとくばらしたりしてみて、「こういうようなものを作ってる仕事に就きたいな」って小さいころ思ってた、そんな気持ちを思い出して、コンピュータ業界に絞って就職活動したんです。でも20社ぐらい受けて落とされましたね。
- 佐々木
履歴書を書いたわけ?
- 川合
履歴書はね、一応高校3年間で卒業しました、っていうふうにうそを書いて……。あの、学歴詐称ですね(笑)。かわいいですけど。
一応進学校やったらしいんですけれど、普通高校の高卒で、しかも秋に就職活動やってるから、面接したら、いろいろな人に「高校出て何しとったん?」と聞かれるわけです。
「いやいやあの、浪人をしてたんだけど働こうと思ったんです」というストーリーにして就職活動するんですけど、どこも採ってくれなくて。あきらめてもう一回夜の世界へ戻ろうかなと思った時に、最後1社だけ拾ってくれたんです。それが僕の唯一の職歴。
- 佐々木
どういう職種だったんですか?
- 川合
営業でした。
- 佐々木
コンピュータ関係の販売?
- 川合
コンピュータのサプライ全般を扱っている商社で。商品として、フロッピーディスクを主に扱ってたんですけど、「なんでもええから売ってこい」という会社だったんです。
- 佐々木
それで、売れたんですか
- 川合
いやあ、入ってね、1カ月しないうちに、上司とちょっとけんかをしてしまって。月給は9万円ぐらい。当時の夜の世界の日給分ぐらいしか月給でもらえないんです。
でも、もうお金のためじゃない生き方をしたいと本当に思ったので、自分でコストコントロールしようとするんだけど、いったん狂ってしまった金銭感覚は戻らないんですよ、なかなか(笑)。
いくら大事に1カ月の給料を使っても、1週間でなくなるわけですよ。それでも苦労しながらやる、人からお金借りたりとかね。やるんですけど、情けないぐらい自分でコストコントロールができなくなっちゃって、どうしても人に……。
- 佐々木
何に使っていたんですか?
- 川合
飲み食いで人におごってしまうんです。
- 佐々木
月給9万円になったのにもかかわらずにね。
- 川合
そうそう。今だにその癖が治らないんですけど。
- 佐々木
いつも御馳走してもらってます、すみません(笑)。
- 川合
いえいえ。ワリカンが嫌いなんです。
燃費、悪いんですよ。ない時に「ない」と言えたらいいんですけど、それがなかなかできなかったんですね。まあそんなことは関係なかったんだけど、与えられた仕事がまた、おもしろくない仕事で。顧客リストを見ながら1件1件回るわけですよ。
その都度見積書を書いて。御用聞きみたいな仕事でした。その日をしのぐ生き方がいやだと思って昼の世界に来たのに、やらされてる仕事はしのぎそのもの。これはおもしろくないなと思いました。
それで、おもしろくない仕事を自分なりにね、「なんかドカンと売る方法はないやろか」と考えました。「数字を作らなあかん」という数字の概念は大分頭に入ってたし、高校生時代から盛り場に出て大人と接しているもんですから、適当に会話や愛想やそんなのも身に付けてた。考えた挙句に自分なりに策を練ったのが、「ソフトハウス」というコンピュータのソフトウェアを開発する会社をターゲットにして、集中的に営業を開始することだったんですね。
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