ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第53回 細川佳代子さん

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特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本 理事長
細川佳代子さん
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ダウン症の青年の夢、ドアボーイ
- 佐々木
学校プログラムの話ですが、アメリカだと、スポーツ以外に、音楽を演奏したり歌ったりで、すばらしい才能が見出しているというレポートも見たことがあります。
- 細川
そうですね、芸術。踊ったり音楽だったり、絵だったり、詩でもいいし。純粋だから、感性豊かだから、芸術活動にも、ものすごい能力を発揮する人がたくさんいる。
- 佐々木
だからやっぱりぜひ、学校プログラムでも、はじめは土曜日の運動かもしれないですけれど、その後は、一緒に絵を描いたり、一緒に踊るだったり、歌ったり、演奏したりできたらいいですね。特に小さな子供たちと会わせてあげたら、少しは日本の将来も明るく……。
- 細川
そう、そうなの。変わる。明るくなる。で、今はね、社会にあまり出てこないでしょ。なぜならば、彼らのいる作業所とか施設には、彼らばかりいるから。一般の人たちと触れ合う機会がないのよ。家と作業所、施設でしょ。これがどんどん雇用されて、社会に自然と出てくればいいの。
私いまひとつ、すごく期待しているのが、今度できる3作目の映画、『Believe』なの。9人のダウン症と自閉症の青年たちが撮影していたのね、世界大会をそれを小栗監督さんたちが、また、彼らの様子、奮闘ぶりを後ろから映すっていう映画なんです。
その中にね、9人のリーダーになった、川口くんっているわけ。ダウン症の。その彼の夢は、ホテルマンなの。ドアボーイしたいの。私今まで、3軒のホテルに頼んだの。ダウン症の子をホテルマンに雇ってくれ、って。特にすごいところ、一流がいいと思っているわけ、私としては。
- 佐々木
帝国ホテルとかね。
- 細川
そうそう。だけどね、今のところだめなの。でもね、それができて、そしてお客さんもそれを受け入れて、逆にお客さんがその子に会って、「こんにちは、いらっしゃいませ」って言われて、なんかいい気分に優しくなるっていうような世の中に、1日も早くなってほしいと思っているの。
だからね、なんとかどこかのホテルで、雇ってくれないかなあ、って、今思っているところ。
そういう、本当にかわいい、中には本当に、その地域の人気者になっているダウン症の子がいっぱいいるの。でもそこで止まっていて、社会を変えようっていう動きにならない。ところどころでは、そういうふうにして理解者が増えていっているのよ。でもまだ一部なのね。それを社会の宝物なるように、大きな運動、うねりになっていくには、このSO(スペシャルオリンピックス)ムーブメントというのを、これからもずっと続けたい。
- 佐々木
社会の宝物。
- 細川
私、理事長は来年で辞めますけれど、SOムーブメントの推進活動は、ずっと続けようと思っているのね。だから10年後に、本当にいろいろなところで、ダウン症とか自閉症の子が働いている、それをみんな当たり前だと思っている、ああここにもいた、ここにもいた、って。で、その子たちに会えば、なんとなく笑顔になって、優しい言葉をかけたくなる。周りの人が。そういう世の中になったら、本当に世の中変わると思う。
すっごく殺伐としている今の世の中が、もっともっと優しい、あったかい社会に変わるんじゃないかなと思って。10年。10年でそうしたいと。
- 佐々木
私たちも全力でサポートしたいと思います。
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