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写真家・ジャーナリスト(医学ジャーナリスト協会会員)
伊藤 隼也さん
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どのような状態のときに、どのような病院を選ぶか
佐々木
どのあたりから真剣に病院を選ぶかっていうことも、大切ではないでしょうか?
変な質問かもしれないけど、例えば子どもが熱を出しました。1人目の子が初めて熱を出したときは大騒ぎで大きな病院にいきました。うちは5歳と10歳なんですけど2人いて、もう何回も入院しました、救急車もきました、もう何もかもやりましたっていうと、だいたい親も訓練されて、表情や様子で状態がわかる気がする。少し安心して対応できるようになった。
たとえば、39度8分までいっても、これはいつもの近くの病院でいいか、ちょっと遠いけど子ども専門の大きな病院に行ったらいいかを考えられるようになった。大きくて子ども専門だと安心ですが、行って3時間待たされて、かえって子どもの具合が悪くなるのなら、これぐらいは家で寝てればいいか、みたいな判断を親も迫られますよね。
今までは偶然、それで当たってたから子どもは元気に生きてるけど(笑)、何かの間違いで障害が残ったりはしないかということは常に頭の中にあってね。だからってみんなが救急病院じゃ……。
伊藤
みんなが、救急病院に行ったら、そこが満員になっちゃって大変だ、って話になりますよね。
ひとつはやっぱり子どもに関しては、子どもの健康の責任は親にあるということをしっかり自覚することでしょう。それは産む前からっていうことですよね。自分の命も守らなきゃいけないけど、お産でいえば、子どもの命は母親が守る、父親が守る。
立ち会い出産なんて欧米では当たり前だし、医者を選ぶのなんか当たり前だし、そういう当たり前なことが当たり前にできないのが日本の医療だから。
例えば、いま言った救急病院については、僕はいつも提唱していますが、自分の住んでいる所の周りにどんなポテンシャルをもった救急病院があるかというのは知っておくべきですよね。
佐々木
私も今は知るようになりましたが、初めは知らなかった。危機管理というのは危機が訪ずれる前に準備しておかなくてはね。
伊藤
あとは、『Where There Is No Doctor』という、世界中で聖書のつぎに読まれているという、医者がいない場所でどのように病気やケガ、出産、公衆衛生などに対処すればいいかを記したプライマリー・ヘルス・ケアの超有名なバイブルがありますが、世界中で翻訳されて売っているのに、何故か日本では出版もされていない。
最近、やっとボランティアの手で翻訳されましたが、たぶん普通の人は興味も示さないだろうな。絶対、一家に一冊なのに……僕は手に入れましたが(笑)。結局、医療界だけでなく、患者もぬるま湯につかって世界の常識から大きく外れて、自分の健康は自分で守るという大事な原則を忘れているんじゃないかな。
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