ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第42回 江端貴子さん

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江端貴子さん
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フルブライトの奨学金を
- 江端
知らないことの無謀さに尽きますね(笑)。当時、社会人に対して奨学金を出しているのが、フルブライトとロータリー財団と、年間に1人くらいしか出さないという女性のための支援プログラムくらいしかなかったので、一番行けそうなのはロータリーかなと思ったのですが、ロータリーを受けたら、「あなた、これまでにロータリー財団の活動に参加されたことはありますか?」と聞かれ(笑)、「いいえ」と答えた途端に、この道も閉ざされました。
- 佐々木
いいことをうかがいましたね。留学したい人は、ひそかにロータリー財団の活動に協力していると、何年後かに道が開ける!
- 江端
それで「フルブライトかあ」と思ったんです。フルブライトなんて高嶺の花で、どうしようと思いましたが、あとに引けないので、ダメもとで受けました。すると一応、書類選考は通り、面接の日になりました。
- 佐々木
フルブライトは、私にとっても遠い存在。全く無理と、調べたこともないのですが、書類と面接だけではないでしょう?
- 江端
足切りでTOEFLの試験がありますが、あとは、研修生として奨学金を出すので、研修テーマを持っていることが求められます。それで、そのテーマについてのエッセイを書き、推薦状などを整えたうえで書類選考が行われます。最終審査は面接になります。
- 佐々木
面接は、どんな?
- 江端
それが、面接当日のトップのニュースが「富士通が広島で1円入札」でした(笑)! 「なんでこんな日に」と思ったのですが、案の定、このことを面接で聞かれました。それで、「対外的な影響はもちろん大きいけれど、社内的にも非常にショックです。自分たちがこれだけ一生懸命に作っているものを最終的に1円で売られたということは、ビジネス倫理の前に、会社として、自分たちの会社価値を自分たちでおとしめる行為であり、腹立たしさを感じる」という意見を述べた記憶がありますねえ。それで結果的には、フルブライトの奨学生に選ばれることになりました。
- 佐々木
何もいえなくなってきました(笑)。本当に、何もかもが、求めるとおりの結果になっていくんですね。
- 江端
もうひとつ付け加えたいのは、ビジネススクールへの進学を希望していたのですが、留学先にはこだわっていなかったのです。つまり、私にはバックグラウンドもないし、英語の能力もそんなにずば抜けていたわけではなかったので、一流校には行けないだろうと最初から思っていたのです。日本で英語を勉強しただけでしたからね。
一応、フルブライトに応募した時に、第一希望校、第二希望校を書いたわけですが、その時も理数系を中心に入れる学校を選択しました。だから、そんなに一流の大学を選んだわけではなかったのです。すると、その時の面接官の1人が米国人の教授で、この方に「このようなバックグラウンドで、日米のシステムを勉強したいのであれば、なんでMITを受けないのか?」と聞かれたのです。
私はただびっくりして、「MITなんて、私が受けてもいいの?」って感じですよね(笑)。その時に初めて、「MITを受けてもいいんだ」と、MITが頭の中に浮かんだのです。だから、MITを目指していたのではなくて、ただ単にビジネスを勉強したいと思っていたら、面接で言われたひと言であわててMITの願書を取り寄せて、それで受けたんです。あの米国人教授のひと言がなかったら、MITには行っていないですね(笑)。
- 佐々木
「Think big」とよく言いますが、この場合もそうですね。
- 江端
それは思いましたね。びっくりしました!
- 佐々木
MITで2年間、勉強されたのですね?一流の仲間とも出会えるので、いい環境だったでしょう。
- 江端
そうですね。教授陣もすばらしいし、MITはインターナショナルな学校なので、普通のビジネススクールに比べると米国人の割合がかなり低く、キプロスやアフリカ諸国、東欧からの学生がけっこう来ていて、英語もネイティブではないので、そんなにうまくないのです。
- 佐々木
もちろんインド系もたくさんいるし…。
- 江端
そう、そう。いろんな国の友達がたくさんできました。
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