ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第42回 江端貴子さん

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江端貴子さん
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社内のMBA留学システムは、男性のみ
- 佐々木
社内の留学制度こそ、会社員であることの最高の利点の一つですよね。
- 江端
はい。それでまず富士通のシステムを利用しようと、直属の部長に相談すると、すぐに賛成してくれました。「いいじゃないか! この際、1回勉強してくればいいじゃないか」と言ってくださって、その場で私の目の前で、本社の人事部に電話をかけてくださったんです。「社内のMBA派遣制度を使ってアメリカに行きたいと私の部下が申し出て来たので、手続きを教えてほしい」と言ってくださったのです。
それからトントン拍子に電話で話は進んでいたのですが、部長が「彼女は」と言った途端、応募者が女性だということが初めて相手にわかったんですね。すると態度が急に変わり、技術屋は行かせられないという話になってしまったのです。
- 佐々木
女は行かせられないとは言えないですものね。
- 江端
「これまで留学させたのは、直接そういう知識を必要としている、人事や経理のスタッフだ。技術屋が2年間もビジネススクールに行っても、帰って来たら技術が進歩していて使い物にならない。だから、基本的には技術屋は行かせない」と言われました。
また、「その女性は65歳まで富士通にいるんですか?」とも聞かれたらしいですよ(笑)。それで、これではらちがあかないなと痛感しました。
- 佐々木
そういった発言は、どの企業でも当時よく聞きました。初の海外支店長とか、初の何々、というのに女性を送るときに、ね。
- 江端
それまでにも私は、工場で女性初の泊りがけ国内出張や、海外出張の申請の度に勤労課(工場の人事)とすったもんだしていたので、「またこれで会社と話し合いをするのはしんどいな」と思い、「わかりました。自分で行きます」ということになってしまいました。言ってしまったものの、どうしようという状態ですね。
- 佐々木
さすが。あきらめるなんて、選択肢はないわけですね。プログラマーとしても上質の仕事をする上で、経営を学ぶことが必要だと感じたことに変化はなかった。どうしても経営を学びたいから、道をみつけよう、ということですね。
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