ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第41回 片平秀貴さん

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丸の内ブランドフォーラム代表・東京大学ものづくり経営研究センター特任教授
片平秀貴さん
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パワーブランドの本質、30社への取材
- 佐々木
そこから、デビッド・アーカーさんと一緒に、かなりさまざまな日・米両国の、またグローバルなマーケットを視野に入れたブランディングの研究が始まったのですね。
- 片平
そうですね。それでちょっと外国に出たのは、『パワーブランドの本質』を書くためでした。これはもう日本だけじゃ駄目だ、 そういったブランドを作ったやつらに直接会うのが早いだろうって、96年にインタビューをザーッといろんなところにした。イタリア行ったり、イギリス行ったり、アメリカ行ったり、全部で30社ぐらいかな。
- 佐々木
インタビューする時というのは、相手はやはり、社長ですか?
- 片平
できれば社長。チェアマンかプレジデント。
その人が会わない、会えないときは、その下のシニアバイスプレジデントとか、マネージメントディレクターとか、そのクラスの人。
- 佐々木
マーケティング部長とか、広報・広告部長みたいな人とは違うんですよね?
- 片平
そう。社長じゃなかったら、例えばアルマーニの場合は総支配人みたいな、すべてを見ている人。だから、デザインを見ているアルマーニじゃなくて、会社を見ているブルゾーネさん、ていう人と。
- 佐々木
インタビューをする相手ってすごく重要だと思うんです。
だって、広告担当の人が話すと、やはり広告という視点でしか企業を語れないけれど、ブランドって違うでしょう。日本ではまだまだ分からない人がいっぱいいると思うんですよ。ブランド=広告の延長だと思っている。
- 片平
なるほどね、そうじゃないからね。
- 佐々木
だから取材先が広告部長ではなくって、社長とか会長でなくちゃ、ダメなんですよね?
- 片平
そう、ダメだね。とにかく全てを分かっている人を目指して、手紙を書いたり、紹介してもらったり。ところが大変なのは、3カ月か6カ月のリードタイムでお願いするでしょう? でも、こっちはその都市にいてもせいぜい1週間じゃないですか。
- 佐々木
そうですよね。
- 片平
それで1日こっちにずれて、1日こっちにずれたら、間は何もしないでいなきゃならないってね。それで、なるべくこの3日間にお願いします、ってね。
- 佐々木
そうですよね。いくら3ヶ月先でも、この1週間に集中してアポをとらなくちゃならない。
- 片平
そう。そういう意味で妥協しなきゃいけないことがあった。
だけどメルセデスだったら、その当時、メルセデスを全部見ていた人の一つ下のポジションの人、これからダイムラーを背負うよっていうエースの方だった。たまたま、まだ背負ってないんだけど、今はアメリカに行ってクライスラーを見ている人。その時は、メルセデスのブランドの再生を全部仕切ってた方で、全部を語れる。要するにこのブランドを語れる人を出してくださいって。
- 佐々木
ボディショップのアニタ・ロッディックなんかはそのいい例ですね。
- 片平
そう。ナイキでは、ネルソン・ファーリスっていう創設者のフィル・ナイトとずっと一緒に仕事してきていて、ナイキの語り部と言われる人とか。
ネスレは当時から今までずっとナンバー2で、ギャレットさん、ていう日本通の方とか。非常に運にも恵まれて、いろんな方に会って話を聞いた。
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