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同時通訳者・環境ジャーナリスト・セルフマネジメントコーチ
枝廣淳子さん
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セルフコーチングと学習メソッド1:バックキャスティング
- 枝廣
いいでしょ(笑)。わたしがもし普通の考え方の人間だったら、まず日常会話を勉強して、そのうち簡単な逐次ができるかな、もう少しやってくといつかは同時通訳できるかなって、現状から始まる考え方をしますよね。
わたしは、現状はどうであれ、まず、どうなりたいかを先に決めて、そこから今を振り返る、いわゆる「バックキャスティング」をしていたんですね。
まず、目標を「同時通訳者になる」に決める。もちろん恥ずかしかったから誰にも言わなかったけど(笑)。で、何ができたら同時通訳者になれるのかを考えると、英語を聞いて意味がわかるのが第一、その意味を日本語で言えるのが第二ですね。それが同時にできれば同時通訳だな、というふうに考えた。
一つめの「聞こえてきた英語の意味がわかる」というのは、何ができればそうなんだろうか、とまた考えていく。まず目標を定めて、何ができればいいのかっていうふうに落としていくんですね。そうすると、自分の活動可能なプログラムまで落としこんでいける。「聞こえてきた英語の意味がわかる」必要があるけれど、今のわたしにはわからない。なぜわからないかというと、語彙がないから、たとえ音として聞こえてきても意味がわからない。語彙があったとしてもスピードについていけなくて、単語がくっついて聞こえちゃうからわからない。じゃあ、語彙を増やすトレーニングと、スピードについていくトレーニングをしよう、と。それには、そういうやり方があるかな、と考えると何種類か出てきますよね。それをメニューとして組み合わせて、自分の時間割を3カ月ごとの「学期」ごとに作ってやっていったんです。
- 佐々木
コミュニティセンターに行くとか家庭教師をつけてやるとかじゃなくって、自分で時間割を作って、というのがいいですね。
- 枝廣
最初の夏は地元のYMCAに外国人用の英語を習いに行ったんですけど、すぐ辞めました。というのは、そこで教えられていたのは、本当に日常会話なんですね。わたしは同時通訳者になるつもりでしたし、日常会話の延長線上に同時通訳はないと思ったので、それなら自分で勉強しようと。
でも、勉強の時間は2年。2年間って熱い思いで駆け抜けるには長いんですね。それもわかっていたので、3カ月ごとに8学期まで作りました。先生もいないし、友達もいない。自分しか一緒に走ってくれる人もいない。だから、専用のノートを作って「今日は1学期の始めです」とか書くわけですよ。で、1学期の目標を書いて。今思うと、セルフコーチングをやっていたんだろうなと思います。
- 佐々木
すごい! わたし、目標とか今日、ノートに書くと思います。なんかやる気になりますね。
- 枝廣
これ、効きますよ! その「学期」もね、3カ月くらいだと、たとえやり方を間違ってもフォローがきくんですね。2年間やって失敗だと駄目ですが。3カ月の時間割で進んでいる途中にも書きますが、3カ月終わった時に、最初の目標と見比べて、どこまでいったか、やり方として何が効いて何が効かなかったか、を考える。それに基づいて2学期のやり方、方法論を作るっていう方法で、自分を励ましながら2年間やったんですね。
- 佐々木
へえ。その、自分を評価する、というのにはどういう方法があるんでしょう?
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