ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第32回 北澤きよみさん

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フィオレッラ・デル・コンテ(メッゾ・ソプラノ、コントラルト)
北澤きよみさん
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あなたたちをよく見たし、よく聞いたからだ
- 佐々木
ミラノ・スカラ座の研究生というのは、どんな毎日ですか?
- 北澤
月曜から金曜、毎日朝から夕方まで授業を4つ受けました。まず9時から発声練習、11時から伴奏の先生について、昼食後は、14時から声楽の先生の個人レッスンですね、16時から舞台演出家の先生について演技とかバレエ、動きとか台詞を勉強する。
毎日9時〜17時で授業を受けたあと、18時半から19時半まで、わたしは自主的にイタリア語の語学学校で勉強していました。仕事をするには当然イタリア語を完璧にしないとばかにされますから。
最初のころはあまり話さないで、聞くほうにまわったんです。自分が完璧に自分のものを演出したり、表現したりするには、まず、聞かなきゃいけない。人の言うことを一生懸命聞いて、用語を書き取って学んで。そのときは、わたしが口を開かずじっとしているので、みんなに「バンボーラ ジャポネーゼ(日本人形)」なんて言われましたね。
そんなこともあって、「イタリア語を話さないのに、なんでそんなに上手に歌えるんだ!?」と言われました。
わたしは、「あなたたちをよく見たし、よく聞いたからだ」と言いました。そしたら、メゾソプラノの大家、ジュリエッタ・シミオナートさんが、「よくイタリア語を聞いたね、よく勉強したね」と。
そして「きよみ、とにかくコンクールを受けに行きなさい」と言われました。苦しみましたよ。日本人は一人ですからね。まだ当時は東洋人と西洋人の差があったんです。
お米を主食にしている東洋人と、肉、野菜や果物や糖分の豊富なエネルギッシュな食べ物のある国の人とは、背の高さも違うし、横幅も違う。
- 佐々木
やはりオペラ歌手っていうと、体が大きいほうがいいのですか?
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