ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第28回 米倉 誠一郎さん

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米倉 誠一郎さん
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やっぱりチーム
- 佐々木
ところで、先生の講演でユニカルの話を出してくださっているのだとか。ユニカルのどこがおもしろいと?
- 米倉
佐々木さんの話をしたのは、通訳者、翻訳家として力のある女性をバーチャルで束ねる力としてですね。その中の一人でかつて東京に住んでいたんだけど、家賃も高いし、松山に引っ越したという方の話。
- 佐々木
ああ、東京から移転しても、仕事を同じように続けた人のことですね。
- 米倉
そう。メールアドレスも携帯番号も変わらなかった、引っ越したことを意識せず、仕事が続けられた。「でも本当に変わらなかったと思いますか?」って聞くと、「いや、変わりました」と。たとえば、家賃20万円で借りてたとして、それが8,000円になったということは19万2000円の可処分所得が増えた、と。これはすごいことですよね。僕はこの種のことが起こるんだと思うんですよね。コーディネートとITの力です。
- 佐々木
そのような例を出していただいて、うれしいです。ユニカルは今70言語、2,300人の翻訳者がいます。60代の男性もいますよ。それも全国、海外。だれもが住んでいる場所や家庭の事情に関係なく、一流のプロの仕事をしています。
ところで、わたしは、こうして、いろいろな方とお会いして学びを得ることが多いのですが、お忙しい中、先生はどんなところから情報を得ていらっしゃるのですか?
- 米倉
古典とか賢者の本とか、人ですね。実は、インターネットはほとんど見ない。
- 佐々木
そうなんですか。では、起業家に一言。
- 米倉
ハーバードビジネススクールに起業家が成功する方法は5つあると。1.よいマネジメントチーム、2.よいマネジメントチーム、3.よいマネジメントチーム、4.よいマネジメントチーム、5.ビジネスアイデア。
これが大事なんです。やっぱりチームをきちっとつくらないと。
先輩の吹野博史さんに、マイケル・デルってどんな人って聞いたら、すごいリスナーだよと。デルは本当に他人(ひと)のいうことをよく聴くらしい。デルが吹野さんよくに言うのは、「できないやつばっかり雇おうとしてるね。自分よりできるやつをとらないと大変だよ」って。
多分デルはまわりにその道のすごいやつを集めて、話を聞いているんですね。そういう点ではやっぱりチームをつくること。良いチームをつくって成功するまでやる。佐々木さんも頑張ってくださいね。
- 佐々木
最後になりましたが、2年前にセクシャルハラスメントで処分を受けられました。「とんでもないことだ」と、わたしも思いましたし、残念に思いました。どうしてもその点については、お伺いしたいと思うのですが。
- 米倉
はい。本当に申し訳ないことをしたと思い、深く反省しています。40名ほどの学生たちとの大コンパの中でしたので、自分としてはゲーム感覚でしてしまったのですが、そのような感覚では済まされないことを改めて知らされ、本当に申し訳なく思っています。こうした愚かな行動が女子学生ばかりでなく、多くの男子学生にも悪影響や迷惑をかけていることにものすごく反省しました。まったく自分の社会的責任がわかっていなかったのですね。その結果、大学側からも処分され、社会的制裁も受けました。やってはならないことをしてしまい、弁解の余地はありません。
もちろん、こんな場にもしゃしゃり出ずに、おとなしく隠とんすることも考えましたが、自分として何ができるかを考えた際、これからは専門分野であるイノベーション研究において、この体験を活かして、ジェンダーフリーな社会づくり、企業革新に少しでも貢献することができたらと思っています。失敗からは学びました。
- 佐々木
教員が含まれるかどうかにかかわらず、そのようなゲームがあることも問題の一つのように思います。大学生同士でも、同じ事が起きるのですから。ぜひ、これからのイノベーティブな社会づくりに活かしていただけたらと思います。本日は、ありがとうございました。
対談を終えて
イノベーションを研究するために、たくさんの起業家に会い、その経営内容を観察していらっしゃる米倉先生とお話ししていると、いつも「まな板の鯉」のような気分になる。しかし実は、わたしの仕事内容のことをあまり話していない気がする。先生、今度時間くださいますか、ご説明しますので(笑)。(佐々木かをり)
23/23
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