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松井龍哉さん
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物を創る人は、本質を知っている。
- 松井
それでね、大工さんにあこがれて僕も大工になりたいと思っていたんですよ。学校の授業は、まったくおもしろくありませんでしたね。学校で一番かっこいいなと思っていたのは、用務員さんでした。
- 佐々木
用務員さん?
- 松井
ええ、鳥小屋をつくったりするでしょう。
- 佐々木
たしかにいろいろ作られます。
- 松井
あと、ガチ袋ってわかりますか? 大工さんがトンカチとかドライバーとかを入れて腰につけている袋。非常に機能的なデザインでしょう? それを大工さんに拝み倒してもらって、そこに鉛筆とか筆箱とかを入れて……。
- 佐々木
ランドセル代わりにして学校に行ってたとか?(笑)
- 松井
そう。大工さんになりたくて。それで用務員のおじさんのところに行って、「んー、何か手伝いましょうか?」なんて言ってね。
あとはね、お弁当。大工さんって体を使うから、食べ物にうるさいんですよ。脂っこいものとか食べ過ぎると、動けないじゃないですか? 当時ね、割とハイテクな魔法瓶のお弁当箱というのをみんな持ってたんですよ。こういう円形で背の高い。
- 佐々木
ああ、大工さん、みんな持ってましたよね(笑)。
- 松井
お昼に開けると、みそ汁の湯気がホワッと出てくる。で、あれが欲しくて欲しくて、親に頼んで近所のディスカウントストアで買ってもらったんです。で、それをお弁当箱として学校に持っていく。学校に行くと、みんな小さなアルミのお弁当箱で、僕のだけデカいんですよ。
- 佐々木
ホワッと湯気立って(笑)。
- 松井
「あいつ変わってるな」とか言って、最初はみんな笑うんですよ。でも非常に機能的で、冬とかごはんとかおみそ汁とか冷めずに温かいまま。そうすると一人まねするやつが出てくるんですよ。するとだんだんクラスのみんなが僕のお弁当みたいになってきたんです。
そこで僕は、「やっぱり物を創る人はブームを作るんだ。物を創る人が言ってることは正しいな」と確信するわけです。
- 佐々木
それをewoman流に言うと、「スマートコンシューマー」半歩先を行く人たち、って言うんです(笑)。
- 松井
そうですか。だから今も僕、バックは肩から下げるやつ。要するに両方の手は、物を創るために空けてある。必要なものは全部腰に、というスタイルなんです。
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